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今西拓弥(早大・投手) 神宮最長身左腕。ベールを脱ぐ未完の大器

 

連盟登録は200センチ100キロ。異次元のスケール感である。1925年秋に発足した東京六大学リーグにおいても、過去に例のない超大型左腕だ。最速147キロ。今春、秘めたるポテンシャルを最大限に発揮する。
取材・文=岡本朋祐 写真=大泉謙也

ベンチ前に立つポーズでも、頭一つ以上抜き出ている。足のサイズは30センチ。既製品では私服が見つからず、遠征先では布団から足がはみ出してしまうという


 2017年2月。安部球場で初めて今西拓弥を見た衝撃を忘れることができない。ネット裏から見ても、ポール間を走っている姿が一目で確認できた。手足が長い。頭一つ以上、抜き出ている。当時、早大を率いた高橋広監督(現・神戸医療福祉大監督)は「まずは、体づくりです。焦ることなく、3、4年時に出てきてくれればいいと思います」と展望を語っていた。当時のサイズは200センチ85キロ。明らかに、体の線が細い印象であった。

「小さいころから牛乳が好きで、ノドが渇いたら飲んでいる、そんな毎日でした。自宅の冷蔵庫には常に入っていました。今も暇さえあれば、寝ていますが、幼少時は夜8時には就寝し、朝7時に起床。睡眠時間は長いほうだったと思います」

 父は173センチで母は175センチ。母方のルーツをたどると、身長が高い部類の親戚もいたそうだが、今西は会ったことがない。弓道をしている高校2年生の妹、野球に取り組む中学2年生の弟も、背の順では前から数えたほうが早い。寝る子は育つ、と言われるが、今西はその典型のようだ。

 奈良県出身。京セラドームで父とプロ野球観戦をするのが大好きで、140センチだった小学3年時から、投手として野球を始めた。小学6年時には173センチ、中学2年で180センチ、3年時には190センチに到達した。ただ、体重は70キロ後半と華奢(きゃしゃ)な印象はぬぐえない。高校入学に際しては、県外でプレーすることを希望していた。

「テレビで甲子園を見ていた野村さん(野村祐輔、明大-広島)、有原さん(有原航平、早大-日本ハム)が活躍しているのを見て、広陵にあこがれを持ちました」

 実際に足を運んで練習を見学。同校を指揮する中井哲之監督の熱意にも惹(ひ)かれ「ここなら成長できる」と進学を決めた。

 高校入学当時の最速は125キロ。いきなり練習試合で抑え、背番号19を着けて1年春の県大会での登板機会に恵まれたものの・・・

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