名古屋大に最速151キロのドラフト候補右腕がいる。2019年秋のドラフトで中日から育成ドラフト1位で指名を受けた、左腕・松田亘哲の背中を追っている。
写真提供=名古屋大学硬式野球部


　明和高時代の本田健悟は、全国的に無名で身長174cm、体重70kgで、当時の最速は131キロ。公式戦のほとんどは、ベンチ内で過ごしたという。3年夏の西愛知大会は1回戦(対長久手高)で登板機会はなく、2回戦(対名古屋市工高)では5回から2番手で救援し、5回1失点に抑えるもチームは敗退(2対6)した。「実力のなさに、コンプレックスがあった」。大学で野球を続ける思いが強かったわけではない。現役で名古屋大(工学部)に進学後、野球部に体験入部。この仮入部期間に当時、4年生エースだった松田亘哲と出会い、衝撃を受け、野球への情熱が再燃した。

「松田さんは、プロに行きたいという思いで、真剣に取り組んでいた。その姿がカッコよくて、自分も松田さんみたいになりたいと思ったんです」

　自身の実力に対する卑屈な気持ちよりも、3学年上の松田へのあこがれ、そして「野球が好きだから」という気持ちが上回ったという。

　入部当初は右ヒジの手術明けだった。受験を終えてすぐ、右ヒジの遊離軟骨と骨棘の除去手術を受けており、投球すらできない。その間、走り込みや筋力トレーニングを重ねた。体をつくり、松田と同じ接骨院に通った。「先生に体の使い方のアドバイスをしていただいたんです。ストレートにしっかり力を伝えられるフォームを意識して、つくっていきました」と、本田は土台を固めていった。リーグ戦デビューは1年秋。手術明けながら・・・