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ドラフト逸材クローズアップ

松石信八(藤蔭高・投手)球春にベールを脱ぐ152キロ右腕のポテンシャル「小さい目標は必ず、甲子園で1勝。大きい目標は日本一です」

 

NPBスカウトが注目する2023年の逸材選手の新連載をスタート。第1回は高校1年秋に152キロを計測した剛腕だ。予期せぬアクシデントを経て、最後の夏に向け、地道にトレーニングを積んでいる。
取材・文=岡本朋祐 写真=上野弘明

投・攻・守・走。何をやらせても身体能力抜群。チームのすべてを背負う覚悟だ


 一番・投手。この起用法を見るだけで、松石信八の魅力が伝わってくる。50メートル走5秒9、遠投110メートル。立川一郎部長は絶対的エースの野球センスをこう語る。

「打って、投げて、走って、完全な二刀流です。トップバッターも打ちますが、ポイントゲッターの三番、攻撃的な二番もあり、対応力がある。1人で点を取り、1試合を抑える。身体能力が高いです」

 佐賀県出身。中学時代にプレーした佐賀フィールドナインでは1年時のスピードは110キロほどで、2年時も伸び悩んだという。2年オフに体重移動、左手の使い方、腕の振り方などフォームを改善すると、冬が明けて最速135キロに急上昇した。だが、中学3年時はコロナ禍でほぼすべての大会が中止。実戦の機会がなかったが、松石は個のレベルアップに努め、緊急事態宣言明けの6月に142キロをマークした。県外の強豪私学からも声がかかったが、直近では2018、19年に甲子園に出場した藤蔭高(大分)の練習を見学した上で「部員全員が前向きにメニューをこなしている姿が印象的で、自分と野球観が合うと思いました」と、同校に進学した。

 1年夏の県大会で146キロを計測。明豊高との準決勝では先発して8回3失点に抑えた(チームは0対12で敗退)。同年春のセンバツ準優勝チームの打線を相手に「自分でもやれる」と手応えを得た。

 同秋の県選手権準々決勝(対大分商高)で大台突破にとどまらず、152キロを表示した。初めて背番号1を着けた2年春の県大会で8強進出へ導くも、右肘の疲労骨折が判明。夏の県大会の開幕2週間前に復帰し、何とか間に合わせたが、甲子園出場へと導くことはできなかった。

 新チームでは松石は主将に就任した。竹下大雅監督はエースという負担も考慮した上で、人間的な成長を期待しての抜てきだった。23年春のセンバツ出場を目指していたが、22年秋の県大会でアクシデントが起きた。大分工高との県大会初戦(2回戦)で先発した松石は・・・

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