右投右打の外野手。攻守で脚力を生かせる、特長のある選手だ。福岡六大学リーグ戦はシーズン途中で故障離脱したが、次なる機会へ向けて、牙を研いでいる。 取材・文=岡本朋祐 
昨年、ドラフト2位指名を受けた1学年上の巨人・浦田が早くも一軍で出場。後輩は刺激を受けている[写真=BBM]
脳裏から離れないワンプレー
就寝前に必ず見る動画がある。2024年6月13日、早大との全日本大学選手権準々決勝。0対1のビハインドで迎えた4回裏、九産大の守りである。早大に2点を追加されると、なおも二死一、三塁。ここで早大の三番・吉納翼(
楽天)が高々とセンターにフライを打ち上げた。捕球すればチェンジだったが、中堅手・阿部謙心は「詰まったと思ったんですが、結構、打球が伸びて、入ったかとも思ったんですが……。打球が揺れたんです……。グラブの土手に当たってしまいました」。痛恨の落球で2人の走者が生還し、この回4失点で、試合の主導権を握られた。
「調子に乗っていたのかもしれません。自分への戒めのためにも、毎晩、見ています。奮い立たせるものでもある」
この大会、阿部は天国と地獄を味わったと言っていい。七番・中堅で先発出場した福岡大との1回戦は4打数無安打だった。仙台大との2回戦は一番で起用された。不動のトップバッターである浦田俊輔(巨人)が、故障のため欠場。「やるしかない」。代役の斬り込み隊長は2対2の7回表、一時勝ち越しとなるソロアーチを放った(試合は延長11回タイブレークで九産大が5対4で勝利)。本塁打を含む3安打1打点と打線をけん引した。
「ゲームが動いていない状況だったので・・・
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