一つの成功体験が、人を大きくさせる。明治神宮大会準決勝で投じた72球は自信となった。相手は最強王者・青学大。最終学年につなげる力投となったのだ。 取材・文=佐々木亨 
青学大打線に真っ向から対峙し、5回を2安打無失点に抑えた[写真=矢野寿明]
勝利への執念
「この舞台で青山学院大学さんを無失点に抑えられたことは、自分の将来につながっていくんじゃないかなと思います」
八戸学院大・
阿部流音がそう語り、未来の自分に自信を深めたのは昨秋だ。
昨年11月の明治神宮大会。青学大との準決勝で、6点ビハインド(2対8)の5回表からマウンドに上がった右腕・阿部は、東都大学リーグを6連覇中で、同大会で史上6校目の大会連覇を達成する強力打線を手玉に取った。
背番号「11」が神宮のマウンドに颯爽と現れる。その登板直後のピッチングが圧巻だった。まずは青学大の八番・谷口勇人(当時3年・大阪桐蔭高)を最後はスライダーを決め球に選んで三振に仕留める。続くピッチャーで九番・
鈴木泰成(当時3年・東海大菅生高)も、そして、巧打で出塁率の高い一番・藤原夏暉(当時4年・大阪桐蔭高)も完璧に抑えて、3者連続三振の立ち上がりである。
「自分しかいない。勝つ気持ちしかなかった」そう振り返る阿部は「1イニングずつ、しっかりと抑えていれば、必ずチームが追いついてくれたり、逆転してくれると思っていた」とも語る。
6回表は上位打線との勝負だ。二番・
大神浩郎(当時1年・福岡大大濠高)を投ゴロに仕留めると、横浜
DeNAのドラフト1位指名である三番・
小田康一郎(当時4年・中京高)は右飛に打ち取った。続く四番・
渡部海(当時3年・智弁和歌山高)は世代を代表する右のスラッガーにして、阿部にとっては同学年。三飛に打ち取った阿部に軍配が上がった。
7回表は七番・
山口翔梧(当時2年・龍谷大平安高)から三振を奪いながら、3イニング連続で三者凡退に抑える。8回表は中前打と味方の失策で二死一、二塁とされるが・・・
この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。
まずは体験!登録後7日間無料
登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。
登録済みの方はこちらからログイン