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ケガの怖さを知っているからこそ、慎重に、ていねいに調整を進めてきた。ケガがケガを呼び、苦しい時間を過ごした古野正人が今季にかける思いは強い。「勝利に貢献できるピースになりたい」チーム一丸で優勝を目指すヤクルトに、身を粉にして貢献することを誓った。チーム全員で喜びを分かち合うため、勝利に向かい右腕を振る。
文=佐藤春佳(サンケイスポーツ)写真=BBM

投げ込んできた自信


 ひと回りたくましくなった足腰と、鋭い眼光が充実さを物語る。ひと冬を越え、取り組んだ鍛錬の成果を自信に、古野正人はプロ4年目の新シーズンへ挑もうとしている。

「役割はどこでもいいので、とにかく一軍で投げたい。“ケガなく1年投げる”ことを目指す段階ではないと思っています。それは大前提。今はとにかく勝ってみんなと喜びたい」。きっぱりと決意を語った。

 つかみかけた飛躍のきっかけ。そしてケガ。焦燥感を味わった2014年シーズンだった。初めて開幕先発ローテーションに入り、春先に3勝。エース・小川泰弘投手が故障離脱した穴を埋める活躍で、同期入団の木谷良平とともに苦しい台所事情の先発ローテの砦となった。

14年4月30日の巨人戦(東京ドーム)で勝利投手となった古野。小川が離脱した穴を埋める活躍だった



 しかし、交流戦に入るころから徐々にパフォーマンスが低下し出す。6月20日のソフトバンク戦(神宮)で2回6失点し二軍降格。すると7月の練習中、ノックを受けている最中にぬかるみに足をとられ、左足首をねん挫した。「振り返ってみると体力面で言えば、春先の投げ込み不足があったと思う。球数を投げていくときつくて疲労も残った。あとは走者を出してからの制球力。去年は得点圏に走者を出すと簡単に返されてしまった。それが防御率(5.35)にもつながっていたと思う」

 ねん挫は重度で、当初の診断は「今季中の復帰は無理」というものだったが、古野の心は折れなかった。「無理と言われたから無理です、というわけにはいかない」と、ギプスをはめながらもヒザ立ちでボールを毎日投げて肩肘を休ませず、上半身を鍛えた。予定より早い9月下旬に復帰すると、中継ぎとして4試合に登板。その後フェニックスリーグにも参加し、真中満新監督のもとで迎えた秋季松山キャンプでは、連日のブルペン入りでチームトップの計1429球を投げた。

 一軍で信頼を不動のものとするための課題は明白だ。まずは1年間投げ続けるための体作り。もともと太れない体質で、高校(報徳学園高)時代は65キロと「チームで一番細かった」という。今オフ中は、「一日何食食べたか分からないくらい。暇さえあればひたすら食べていた」という増量法でパワーアップ。年末年始以外はほぼ無休で走り込み、心肺機能を上げるためにマスクを付けて走るなど工夫を凝らし体力強化を図った。

 さらに、一軍で生き残っていくための「制球力」を徹底的に意識している。「僕は150キロのストレートでねじ伏せていく投手じゃない・・・

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Go for2014!〜新シーズンにかける男たち〜

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