週刊ベースボールONLINE

シリーズ 首脳陣に聞く

【首脳陣に聞く】ロッテ・吉井理人(監督)「それぞれのチャンスへ。実体験に勝るものはないからこそ、積極的な姿勢を大切に」

 

新指揮官の下、新生・マリーンズが始動した。3年ぶりのBクラス(5位)に甘んじた昨季だが、夏場まで優勝争いに加わるなど上位と大きな差はない。ポテンシャルを秘める若手が多くひしめくチームの成長が期待される中で、吉井理人監督の方針や起用法とは──。『今日をチャンスに変える。』のスローガンに歩んでいく道が表れる。
取材・構成=鶴田成秀 写真=高塩隆

監督としてチーム全体を見渡す初のキャンプ。“昨季の予行”が生きていると言うが、そもそも指導は教え過ぎないことも念頭に置く


次なる道への第一歩は結果以上に考えること


 現役時代はメジャー・リーグでも腕を振り、引退後には複数球団で投手コーチを歴任。豊富な知識と経験を持つ新指揮官だが、根底にあるのは挑戦し続ける心だ。その思いを浸透させるべく、キャンプから“吉井流”がいたるところに表れた。

 監督となって初めてのキャンプ。ただ、昨年もピッチングコーディネーターとしてキャンプを見ていたので“初めて”という感じはあまりしないんです。というのも、昨年も選手への技術指導はせず、全体を俯瞰(ふかん)して見ていましたから。昨年とよく似た感じなんですよね。意図せず、予行練習になったなって思っています(笑)。

 コーチとしては、何度もキャンプを過ごしてきましたが、一番の違いはそこになるんです。なので、指導はある程度、各コーチたちに任せ、僕はチーム全体をチェックしていくことが一番の仕事です。

 特に、今年のキャンプは野手のやり方を変えましたから。変えた部分というのは全体練習の時間を短くして、自主練習に長く時間を割いたことです。自分で考え、自分の練習ができる時間を長くするため、チームの全体練習を短くしました。ただ、個人練習と言っても『自分1人だけの練習』では決してありません。自分で考え、コーチに話をして、アドバイスをもらいながら、手伝ってもらう。これが選手もコーチも、個人練習で大事になることなんです。

 選手もコーチも、それぞれの考えがあるでしょう。その中で考えが異なることだってあるはず。そうなれば、課題などを軌道修正していくのが本来のコーチングになります。その上でコーチ陣に伝えているのが『どんな練習、どんな指導も選手が納得した形でやりましょう』ということ。

 そもそも野球には正解はありません。自分の考えが正しいのかどうかも、誰も分からないのです。そんな中で大事なのは、選手自身の『気づき』だと思うんです。監督、コーチが一方的に教え、選手が漠然と練習をこなすと、選手は何も考えずに漠然と取り組む可能性もある。すると、『気づき』が出てこない。自分でやってみたいと思う練習ほど、頭を使うので、何かを感じるものです。そうして自分自身の技術向上と向き合い『考える』ことにつながっていく。その結果、何かしらの『気づき』を生むんです。もっとこうしよう、こうしたほうがいいかな、と──。

 キャンプの期間は、そういう『気づき』をたくさん出してほしい。自分で考えないと、自分の技術は身に付きませんから。“コツ”ってそういうものなんですよね。いろいろ試行錯誤しているうちに「あ、これか」となっていく。いろんなことを試し、繰り返して・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

シリーズ 首脳陣に聞く

シリーズ 首脳陣に聞く

新しくチームを指導する首脳陣たちに、その指導法を聞く連載

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング