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【首脳陣に聞く】オリックス・水本勝己(ヘッドコーチ)「選手個々の成長はチームを強くするため。全員が戦力だからこそコーチ陣も一体に」

 

人心掌握の名参謀。2021年にヘッドコーチに就任すると、中嶋聡監督との強力タッグでリーグ連覇、昨季は日本一に導いた。チームの結束を強くした男の、指導方針は一貫してブレることはない。「全員が戦力」そして「全員で勝つ」の強い思いはキャンプからも散見された。
取材・構成=鶴田成秀 写真=佐藤真一

キャンプでナインの動きに目を光らせる水本ヘッドコーチ


正解はなく方法は多数 大事なのは“きっかけ”


 いくら個の能力が高くとも、束になって挑まなければ勝利は遠のくもの。指導や采配、策に正解はなく、その方法は多数あるが、大事なのは、考えること。事を起こす『きっかけ』が、結果を大きく変えていった。

 オリックスで2シーズンを過ごしましたが、広島で二軍監督を務めたときにウエスタン・リーグで対戦相手として、オリックスを見ていました。ファームにいる選手ではありましたが、個人の能力は高い子が多いな、と思っていたんです。実際にチームに入ることになったのが2021年。それまでの20年間で2回しかAクラスに入っていないと聞き、どこに問題があるのか考えたものです。技術と同時に準備の仕方、野球に対する考え方も含めて。中嶋聡監督が(前年の監督代行から正式に)就任され、一緒にチームを見ていく中で、監督ともそういう話をしました。考え方かもしれないし、技術かもしれない。それよりも体力がないのかもしれない。そこをずっと分析していったのですが、ここに答えはないんです。ただ、言えるのは『一つのきっかけ』があれば選手は伸びることがあるということ。

 だから、昨年までの2年間で、『きっかけづくり』を大事にしていました。試合前のベンチ内で選手、監督、コーチ全員でグータッチをして士気を高めたのもその一つ。試合に臨む中での準備や姿勢の意識づけでもありました。いろいろ考えた中での方法で、監督にも相談したんですが「ええやん。やってみよう」と言われ。何より監督がトライすることに前向きなんです。何かを変えて、挑戦していく。そんな空気感が出来上がっていった気もしています。

 ただ、人間は慣れてしまうものでもある。試合前のグータッチも、続けていく中で、マンネリ化してしまう感じもあったんです。なので、昨シーズンの終盤から円陣に変わり、日によっては輪の中心で監督が選手、コーチ陣全員に声掛けをしていました。策を打つ、と言うと大げさですが、チームに刺激を入れていくのが、私たち指導者の役割でもある。何か突破口を見つけ、選手個々を束にしてチームを前に進める役割もあると思っています。

 試合でもそうです。昨年は・・・

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