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【首脳陣に聞く】ヤクルト・高津臣吾(一軍監督)「スワローズらしさを前面に出してほしい」

 

春季キャンプが終了し、シーズン開幕まで残り1カ月を切った。連覇を狙う王者に立ち向かうべく、挑戦者は今まさに爪を研いでいる。指導者たちに聞く短期連載の第3回はヤクルト一軍監督の登場だ。悔しさを味わった2023年を経て、指揮官は今季をどう戦っていくのか。
取材・構成=小林篤 写真=矢野寿明、BBM

V奪回に挑む新シーズン。昨季の悔しさを忘れることはない


勝負師としての基盤はアマチュア時代にあり


 日米通算313セーブ、野球人なら誰もが知る守護神は今、指揮官としてプロ野球の世界で戦っている。2012年に初めてBCL/新潟で兼任監督を務めて以来、今季で監督業は通算9年目を迎える。21年にはヤクルトを日本一、22年にはリーグ連覇へと導いた「監督・高津臣吾」が、現場のトップとして大事にしているのは何か。そして今季に懸ける思いは――。その声を聞いた。

 一軍監督として今年で5年目となりましたが、考えることがどんどん増えていくような気がしています。ある問題を解決して、次の問題に取りかかるのではなくて、答えが出ていないけれど、また次の問題が出てきて、さらにその次の問題が……と、どんどん積み重なっていく。その中でコーチをはじめ、いろんな人に相談をして答えを出さなければいけないのですが、考えることが多過ぎて、頭が混乱することもあります。ただ、野球のことですから嫌いなことではない。悩みや問題は少ないほうがいいですが、これも仕事の一部です。ときには楽しみながら考えています。

 振り返れば、勝負師として必要な基盤は高校(広島工高)、大学時代(亜大)の7年間で培うことができたように思います。上下関係や練習内容も非常に厳しい野球部で、今では使わない言葉ですが、「根性」や「忍耐力」といったものを鍛えることができました。そして、ヤクルトに入団し野村(野村克也)監督に出会い、「考える野球」を植え付けていただいた。

「考えるけれど、最後にグラウンドでプレーするのは選手だからのびのびやりなさい」という教えは、自分にすごく合っていたのだと思います。アマチュア時代の7年間を経て、野村監督の下でプレーをさせてもらった。この運と縁は、自分にとって幸運なことでした。

 また、ヤクルトで二軍監督を務めた3年間(2017〜19年)も大きいです。若い選手たちと一緒に練習して、試合に臨んだ日々が今に生きている。もちろん、一軍監督と二軍監督では求められることも、選手への接し方も違ってきます。一軍監督は勝つことが使命で、それがすべてではないですが大半を占める。一方で、二軍監督は選手を人として成長させなければいけない。高卒入団なら18歳の子どもを社会人へ育てていくわけです。そこには大きな責任を感じて指導していました。

 ただ、一軍監督であってもその想いがないわけではありません。内山(内山壮真)や長岡(長岡秀樹)など若い選手が一軍でプレーしていますが、彼らが選手だけでなく、人としてどう成長していくかは、じっくり見ている途中です。横道にそれたり、間違いがあると判断したときには注意をする、正してやるのが監督の務め。親御さんから預かった大切なお子さんを成長させる、そこに大きな意味があると思っています・・・

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