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第24回 村田兆治「投げに投げる時期がないと投手は成長しない」

 

マサカリ投法と呼ばれる豪快なピッチングフォームと落差の大きなフォークを武器に、パ・リーグで異彩を放った右腕。夫人には「昭和生まれの明治男」と称されたが、実直に野球と向き合った。プロ野球の歴史を彩り、その主役ともなった名選手の連続インタビュー第24回は村田兆治氏の登場だ。
取材・構成=大内隆雄、写真=BBM

通算成績は604試合215勝177敗33セーブ、防御率3.24。現在は野球評論家。離島の子どもたちの野球指導に力を入れている



マサカリ投法は下半身を鍛えないと持続できない。とにかく走った


初めて村田氏のピッチングを見たのは1969年。村田氏がロッテに入団して2年目のことだった(1年目の球団名は東京)。大学から都電に乗って終点の三ノ輪橋まで行く。東京球場は、そこからものの5分。行きやすかったので結構ロッテの試合には付き合った。そのロッテの投手の中で、ベラボウにボールが速かったのが村田氏だった。

当時のロッテ投手陣は制球力抜群の人たちがそろっていて、小山正明成田文男木樽正明3投手の投球術は見事だった。ちぎっては投げの坂井勝二でもコントロールは悪くなかった。その中で、1人、どこへ行くか分からない(というほどでもなかったが)投手だったのが村田氏。80四球はリーグ最多。暴投5も最多。しかし、このシーズン6勝中5勝が完封なのだ! この謎めいた投球はどういうことだったのか。ちなみに取材・構成者には、なぜかこの年、村田氏の、あのフォークボールの記憶はほとんどない。

 あの年はね、のちの村田兆治を作るためのターニングポイントだったんです。たしかに5完封はしました。でも6勝。じゃあ、ほかの先発の試合、オレは何をやっていたんだろう(この年、先発は20試合)。こういうことではダメだ。そこから、自分を鍛え直していったのです。

 あのころは、のちのように大きく振りかぶらず腕の上げ方は小さかった。左足の上げ方も小さかった。これを力感のあるフォームに変えたかった。両腕を高く、高く上げて、仁王立ちのようにして、左足も高く上げる。そこからグ〜ッと沈み込んでタメを作り、また持ち上げて投げ下ろす。のちにマサカリ投法と名付けていただいた、あのフォームを作り始めるワケです。

 言うのは簡単ですけど、マサカリ投法を自分のものにするまでは、大変な苦労がありました。このフォームは、とにかく下半身を鍛えてないと持続できるフォームではない。だからとにかく走りました。

 そして、左足を上げる練習ばかりやっていました。それと腹筋、背筋を1000回。片足を上げたままでジャンプを繰り返すようなこともやりました。

 ロッテには好投手が多く、私は成田さんのスライダーを見て、どうしたらこんな素晴らしいボールを投げられるのだろうと、ビックリしてしまいました。成田さんは、ランニングはどんなときでもスパイクを履いてやっていたんですね。アップシューズは履かない。常にゲームと同じ状態で練習する。こういう心構えがないと一流にはなれないんです。先輩をウオッチングするのは大事なことなんです。

 村田兆治のピッチングが完成するまでには、時間がかかり、74年ですね、マサカリ投法が自分のものになったのは。面白いもので、フォームの完成に伴ってフォークの威力も増していったのです。

成田文男投手[左]の練習態度には啓発された



投手は、ムチャだと思っても「投げに投げる時期」がないと成長しない


村田氏のフォークは140キロ台の初速で飛び出していって、大きく落ちる。140キロ台の速いフォークを投げる投手はこれまでもいた。ロッテの後輩の伊良部秀輝、横浜、巨人で投げたクルーン、そして、現巨人のマシソン。しかし、彼らのフォークには村田氏ほどの落差がない。速くて大きく落ちるフォークは村田氏だけのものだった。

 私は、元祖と言われる杉下茂さん(元中日ほか)のフォークボールはもちろん知らないのですが、巨人の長嶋さん(茂雄内野手)、王さん(貞治内野手)相手にフォークボールで立ち向かい、孤軍奮闘していた阪神村山実さんの姿には感動しました。投手はだれも助けてくれないのです。

 その村山さんにお話をうかがったことがあります。「村田君はすごいフォークを投げるそうだねえ」と持ち上げてくれたあと「すべては・・・

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