ソフトバンクへ移籍1年目の今季は先発ローテーションを守り抜き、中日時代の2007年に自己最多の14勝をマークして以来、7年ぶりの2ケタ勝利を挙げた。9年間着た中日のユニフォームを脱ぎ、新天地での活躍に向けて意を新たにした結果だが、移籍は勝ち星が思うように伸びない閉塞感を打破するためのものだった。3年ぶりにリーグ優勝を遂げたチームの中で残した成績に中田賢一はどのような評価を下すのか。また、FA移籍の決断は正しかったのか――。 文=菊池仁志 写真=湯浅芳昭 ちかっぱ、頑張るっちゃ!
2014年シーズンの幕が開けた。任されたのはエース・
攝津正の3年連続開幕投手にして3年連続開幕勝利の後を受ける開幕2戦目の先発マウンドだった。
「普通でいたつもりで、自分では感じていませんでしたが、多少のものがあったのかもしれません」
シーズン初戦のマウンドはいつでも、不安が付きまとうもの。それが新天地での初戦である。しかも、生まれ育った故郷のチームでの再スタート。本拠地・ヤフオクドームのスタンドには応援の温かな視線を感じていた。でも、それに甘えることは許されない。「期待に応えたい」。帰ってきた地だからこそ、余計にそう強く思うのは当然だ。
ロッテの先頭・
清田育宏を打席に迎え、最も自信があるストレートを投げ込んでいく。ソフトバンクファンにアピールしたいと語っていた「バッターを押し込んでいくピッチングスタイル」の実践。しかし、そのボールが4球続けてストライクゾーンから外れた。
「振り返ってみると、チームの皆さんに助けられた1年でした」
開幕から先発ローテーションを守り抜き、25試合に投げて11勝7敗の成績を残した中田賢一。中日時代の07年以来となる2ケタ勝利を挙げたが、防御率4.34では「たくさん打ってもらったから勝てたもの。自分に納得するものはありません」と言うのも無理はない。
この試合が象徴している・・・
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