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DeNA・三上朋也 再出発への第一歩

 

昨年のチーム最多セーブ右腕は2年目の開幕を前につまずいた。その間に、チームにはルーキーが絶対的守護神の地位を築いていた焦りがなかったといえば、嘘になる。それでも三上朋也は地に足をつけ、一軍マウンドに戻ってきた。
写真=井田新輔、大泉謙也

9月5日の巨人戦[横浜]で失点を許したが、一軍復帰から12試合連続で無失点と結果を出し、ケガからの復調を印象付けた



4カ月遅れの開幕戦


 こみ上げるものを封じ込め、三上朋也が大きく息を吐いた。「試合で投げられることがどれだけ幸せなことか。投げられる喜びをすごく感じました」。4カ月遅れの開幕、今季初登板は8月8日の阪神戦(横浜)だった。7回表の攻撃が終わると、昨年と同じ登場曲「Wake Me Up」(Avicii)がかかった。勝手を知るファンは大歓声。さらに気持ちが入った。三番・福留孝介からクリーンアップと対戦。3安打されながら、2回を無失点で切り抜けた。

 試合は2対5で敗れたが、中畑清監督は「思った以上に良かったね。去年のような雰囲気も出ていた。これだと、いい場面を任せられそうだな」と評価。再出発へ第一歩を踏み出すと同時に、DeNAのブルペンに頼もしい一枚が戻ってきた。

 中畑監督が言う「去年」は大車輪の活躍だった。ドラフト4位で入団し、1年目からストッパーの大役を任された。9月14日の巨人戦(東京ドーム)で19セーブ目を挙げ、当時の球団の新人記録を達成。チーム最多の65試合に登板し、21セーブ、防御率2.33の好成績を残した。

「競争に勝ったとか、勝ち取ったというより、気がつけばそこのポジションにいたという感じでした」

 無欲でガムシャラに右腕を振り、長年の泣きどころだった役割を全うした。慢心することなく、今年1月の自主トレでは「パワーアップしないと、シーズンでは厳しい」と自己分析。特に阪神戦(防御率6.43)と広島戦(同5.23)で打ち込まれたことを反省し「シンカー系の落ちる球を覚えたい」と決意表明して臨んだ。

 2年目のジンクスとも無縁のはずだった。国吉佑樹と守護神争いを期待され「何が何でも抑えをやりたいとか、そういうこだわりはない。勝ちにつながる投球。それができる役割でシーズンを全うしたい」と地に足をつけて2月1日を迎えた。ところが、沖縄・宜野湾キャンプの終盤、状況が暗転。ブルペンに入った直後、右ヒジに異常を訴えた。

「ブルペンや試合で投げていくうちに、張りはありました。ただ、ああいう感覚は初めてで……。投げられない、と感じたことはなかったですから」

 すぐに投球を中止。「焦りはなかった。すぐ治るだろうと思ったので」と軽症だと踏んだ。オーバーワークなのか、ルーキーイヤーからの蓄積疲労なのか。ここからの戦いが予想以上に長期化することになった。

「70%ぐらいの状態がずっと続いて……。思うような強い球を投げられなかった」。ファームで慎重にリハビリを重ね、初実戦は4月21日のイースタン・リーグ、ヤクルト戦(戸田)までズレ込んだ。8回に3番手で3者凡退。登板ごとに結果を積み上げた。

「早く戻らなきゃいけないって、焦るのだけはよくないと思っていました。また(ケガを)やってしまうと、本当に意味がないですから」。早期復帰。首脳陣の願いは感じても、残りの「30%」が埋まらなかった。原因も不明。「もう投げられなくなるのかもしれない……」と不安がよぎった・・・

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