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野球浪漫2016

復活の巨人・内海哲也を救った家族の絆 「自分1人だったら、今はなかった」

 

何をやっても、うまく回らない。2014年、そして15年の内海哲也には、そんな思いが芽生えていたのではないか。2度の最多勝(11、12年)を始め、プロ12 年のキャリアで7 度の2ケタ勝利と、絶対的な存在だった巨人のエースが、先発ローテーションに定着して以降、初めて過ごす試練の時間は、しかし、今季に入っても終わりが見えなかった──。
文=久保賢吾(日刊スポーツ)、写真=小山真司、佐藤真一


一軍の試合は1人湯船の中で観戦


 苦難を乗り越え、やっとつかみ取った今季初勝利に笑みがはじけた。「泣くかもしれへん」と自らが予想した涙はなかったが、6月1日のオリックス戦[京セラドーム]、内海哲也は無数のフラッシュ、歓声を浴びながら、笑顔でヒーローインタビューに答えた。

「気持ちのいいものですね。このヒーローインタビューはなかなかできないものだと思ってたんですけど、一生懸命やってきて、良かったです。ファンの方に申し訳ない気持ちなんですが、こういう声援を浴びるために一軍に上がってきた。苦しんだ分、もっと頑張りたいです」

 スタンドからは「内海〜、待ってたぞ〜」の声が飛び交う。一軍では241日ぶりの白星は、ファンも待望する1勝だった。オリックス打線に対し、再三、走者を背負いながら、6回無失点の粘投。「1球1球、粘り強く。それが、自分のピッチング」と自負する投球スタイルを通した。

 一時は、このときが訪れることを想像さえできなかった。シーズン開幕直前のオープン戦で打ち込まれ、開幕は二軍スタート。高橋由伸新監督からは「しっかりやってこいよ」と奮起をうながされ、首脳陣からは、カットボールの習得を復調のカギに勧められた。

「結果がすべてですから。一軍に呼んでもらえるように、二軍で結果を出します」と巻き返しに心は燃えたが、二軍生活は甘くはなく、結果は無情だった・・・

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