決して日の当たる場所は歩んでこなかった。曲がりくねった道を進み続け、そして自らの居場所を築いた。だが、行程はまだ半ば。たった一つの頂点を目指し、“自分らしく”をモットーに突き進む。 写真= BBM 新天地1年目に無我夢中の一軍完走
ナゴヤドームの監督室。今季の開幕からまもなく、そこに
亀澤恭平が呼び出された。不調で快音が続かず、もがき苦しんでいる最中。当時監督だった
谷繁元信と向き合うと、はっきりとした口調で言われた。
「お前が荒木を超えるのは無理だ。あいつがどれだけのキャリアを積み重ねてきたかを考えてみろ」
長年にわたり、二塁の定位置を担ってきたベテラン・
荒木雅博。その存在と比較して敗北の烙印を押されたとも受け取れたが、真意はむしろ逆だった。「荒木とお前は違う。自分なりの色を出していけばいいんだ」。泥くさい全力プレーや、ファンに向けたパフォーマンス。自らの存在価値を示すための個性を尊重してくれている証拠でもあった。
この言葉をもらうきっかけになったのが、昨年11月17日の契約更改での会見。年俸は一気に355%増の推定2000万円に跳ね上がった。
「二塁のレギュラーを獲れるように。荒木さんを超えたい」 純粋に高い壁に挑戦したいと思ったゆえの発言。だが、同じ土俵で、同じ姿を追い求めようとしているのではないか──。報道などを通じて前指揮官がそう受け取ったからこそ、己を貫く大切さを説かれたのだった・・・
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