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野球浪漫2017

中日・鈴木翔太 唯一無二の直球を武器に 「何としても結果を残したかった。成長した姿を見せたかった」

 


プロ4年目でつかんだ初勝利は快進撃の序章に過ぎなかった。前半戦だけで5勝を挙げた若き右腕は、壁を乗り越えるごとにたくましさを増し、唯一無二の存在へと成長していく。
写真=井田新輔、BBM

流行に逆行する天性の真っすぐ


 カットボールやツーシーム……。直球系の動くボールが隆盛となる中、きれいな縦回転で戦う。

 真っすぐこそ正義──。

 時代への挑戦? 反抗? 美しき本格派が、その片りんを見せた夜だった。しなやかな腕の振りから白球を弾く。スピンの効いた直球がミットに吸い込まれる。

 最速は144キロ。ただし、打者の体感はそれ以上。とらえ切れない打球がその事実を物語る。天から与えられた者にしか投げられないストレートが岐阜の雨空を輝かせた。

 5月9日のDeNA戦[岐阜]。鈴木翔太が勝った。プロ初勝利。輝かしい未来を予感させるピッチングだった。

 立ち上がりから快調だった。テンポ良く、スコアボードにゼロを並べた。4回二死一塁では筒香嘉智を外角直球で見逃し三振。侍ジャパンの主砲を相手にしてもひるまなかった。そして圧巻は5回。連打で無死一、二塁とされたが、高城俊人、代打・エリアン、倉本寿彦を三者連続空振り三振。直球とフォークのコンビネーションがさえ、反撃の芽を摘み取った。

 その1週間前の広島戦[マツダ広島]では、あと1人で勝利の権利を手にするところから悪夢を見た。

「そのことも少しよぎった。前回は・・・

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