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野球浪漫2018

オリックス・安達了一 覚悟を決めた男の強さ 「周りは難しいんじゃないかって言うんですけど、そこを頑張って同じ病気の人の励みになりたい」

 


国が難病に指定する『潰瘍性大腸炎』を患う中で、周囲のサポートが野球への情熱をさらにかき立てた。監督、チームメート、そして何より同じ病を患う人のために──。覚悟を決めた背番号3は、たくましさを増している。
文=筒井琴美(報知新聞)、写真=BBM

 ここ2年、よく聞かれるようになった質問がある。

「体は大丈夫か?」

 人に会えば必ずといっていいほど、体調の心配をされるようになった。どうしても病気=大変とイメージしてしまいがちだが、意外なほどに当の本人にはそんな意識はまったくない。

「自分では大変だと思っていないんですよ。こういう運命だと思うようにしているんです。そこまで重くとらえてないんですよね」

 生まれたときから野球選手になることが決まっていたなら、病気になることもきっと決まっていたはず──。周囲の心配をよそに、安達了一は驚くほど冷静に自身の運命を受け入れ、その上で真摯に野球に取り組んでいる。「(病気に)なったものは仕方ない」。そう話す表情からにじみ出るのは開き直りではなく、決死の覚悟のように思えた。

 体に異変を感じたのは2015年11月、高知での秋季キャンプに参加しているさなかのこと。繰り返し来る急な腹痛に違和感を覚えた。それでも練習がこなせないほど激しいものではない。「普通に風邪だろうと思っていたので、薬も市販のものを飲んだりしていました。あんまり重く考えていなかったです」。それでもまったく状態は良くならず、キャンプが終わっても腹痛に耐える日々が続いた。年が明けてからも“普通の風邪”は安達の体に居座り、時に練習の邪魔をした。

 しかし、これまで大きな病気もケガもしたことがなく、体の丈夫さには自信があった。16年1月18日に自主トレを公開した際には体重が3キロほど落ちていたが「お腹が痛いだけで大丈夫だろう、治るだろうと思っていました」と自然治癒を目指した。チームに悲報が入ってきたのは、その5日後の23日。球団から発表された病名は『潰瘍性大腸炎』だった・・・

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