突然のトレード宣告から7年。念願叶い、東北に戻ってきた。他球団在籍時も“故郷”への思いが薄れることはなかった。ほかの2球団では激しいポジション争いの中、自らの生きる道を悟った。2018年に38歳を迎えるベテランは、優勝するために必要なピースとなる。 文=金野正之(河北新報社)、写真=上野弘明、BBM 「悲劇の主役」が記者会見で流した涙
「ただいまです」 2017年11月30日、横浜(現
DeNA)、
西武を経て8季ぶりに
楽天に復帰することになり、
渡辺直人は仙台市の球団事務所で記者会見に臨んだ。代表質問者だった旧知の地元テレビ局アナウンサーの顔を見るなり、感無量で両目は真っ赤になった。聞き手も同じような顔になっていた。少し震えた声で渡辺は思いを連ねた。
「帰ってこられて、心の底からうれしい。離れていてもチームのことが気になっていた。できればもう一度、このユニフォームを着たいと思ってずっとプレーしてきた。本当にうれしくて、言葉にならない」 突然の金銭トレードで放出され、同じ場所で「悲劇の主役」となったのは2548日前。渡辺はようやく不本意な呼ばれ方から解放された。
7年前の10年12月9日。4季連続で正遊撃手だった渡辺は、思いもしないトレード通告を受け横浜への移籍を余儀なくされた。直後の記者会見で涙した姿が強烈な印象を与えた。翌日、他選手の契約更改会見でも異例の事態が続く。新選手会長になったばかりの
嶋基宏、
鉄平、
草野大輔の主力たちが次々と・・・
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