活躍を見せたい人がいる。“あなた”がいたから、しんどいときも頑張ってこられた。2017年の飛躍も甲斐拓也本人に言わせれば「まだまだ」。『真の要』へと成長した姿を──。それが、最愛の人への最高の恩返し。 文=福谷佑介(スポーツライター)、写真=湯浅芳昭、BBM あこがれの兄の背中を追った先で
いま、甲斐拓也の胸の内は危機感で埋められている。自信も、確信もまだない。正捕手になったなんて思いは、少しもない。
「追い込んで、苦しんでやるべきことをやって、真の要になれるようにやっていきます。去年は試合に出させてもらって(ゴールデン・グラブ賞とベストナインは)いただいた賞。使ってくれた監督に感謝していますし、野球で返せるように、そういう1年にしたいと思う。危機感はもちろんありますし、安心感とかないですし、大丈夫だなんてこれっぽっちも思っていないです」 オフの自主トレ時に発した言葉に思いのすべてが込められている。2018年こそが、勝負の年。正捕手の座をつかむための重要なシーズンになる。
17年、甲斐を取り巻く環境は激変した。未来の正捕手候補として
工藤公康監督、
達川光男ヘッドコーチ、首脳陣に見初められ、プロ7年目にして初の開幕一軍入り。16年まで計15試合にしか出場していなかった男が、
千賀滉大、
東浜巨といった若手投手と主にバッテリーを組んで103試合に出場し、日本一に貢献。肩とスローイングが脚光を浴び、育成出身選手として初めてベストナインとゴールデン・グラブ賞をダブル受賞した。秋には侍ジャパンのメンバーとなり、今春もまた“フル代表”となった侍の一員に選ばれた。
誰が、これほどまでの“出世”を予想できただろう。
甲斐の野球人生は・・・
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