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野球浪漫2018

DeNA・田中浩康 夢舞台への憧れを抱いて 「今は14年間で学んだことすべて出し切ることだけを考えている」

 

キャリアを重ねるほど、集団における自分の能力、立ち位置を考えさせられるものである。それは野球選手に限った話ではない。1年前、12球団でも飛び抜けて若いDeNAという集団に飛び込んだベテランは自身の経験をチームにもたらしながら、自らも吸収し、新境地を進む。
文=小林陽彦(共同通信社)、写真=小倉直樹、BBM

今季は5月に一軍に合流。試合数は多くないが、得点圏打率.333と勝負強さを見せる[6月14日時点]


チームから与えられた新ポジションの真意


 今季の田中浩康は、実はDeNAチーム内であるポジションを担っている。その名も「ダッグアウト・キャプテン」。5月上旬に一軍に呼ばれた際、ラミレス監督から直接打診を受け、数日後の試合前の円陣でナインに正式に伝えられた。

「チームメートにアドバイスする権限を与える。若い選手の相談に乗ってほしい」というのがラミレス監督の要望だった。今年5月で36歳になった田中浩は、12球団最年少クラスで構成されるDeNAの一軍ではJ.ロペスの1歳上にあたり最年長になる。ヤクルトから移籍2年目はキャンプ、オープン戦と二軍生活が続いていたが、真摯な準備を絶やさず、チーム全体に目配りを効かせた振る舞いが首脳陣の耳にも届いていた。

 将来にも必ず役立つ経験だから、と指揮官は田中浩に伝えた。最初は一軍昇格したベテランへの短い期待の言葉だった。しかし、数日後の練習中に「やっぱり正式に肩書を付け、みんなの前で紹介したい」と転じたという。今回、ラミレス監督がチームマネジメントする上で田中浩の力を頼った形になる。開幕ダッシュに陰りが見えたチームは、貯金を使い果たしてBクラスに落ちていた。

 その経緯を、青山道雄ヘッドコーチが述懐する。そこには首脳陣の田中浩に対する・・・

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