大切な人との約束を果たし、プロの世界へ。しかし、右腕の人柄が飛躍を邪魔した。5年目のシーズン開幕を前に、コーチからの厳しい言葉で気づかされる。勝負の世界に“優しさ”は不要!強気な姿勢で、ついに自分のスタイルと居場所をつかんだ。 文=田尻耕太郎(スポーツライター)、写真=湯浅芳昭、BBM ※成績・記録は9月12日時点 同期たちとは対照的に
マウンドには走って向かうのが、
加治屋蓮の流儀だ。
「ダラダラ歩いていくのって何か違うと思うんです。子どものころ、ホークス戦をドームに観に来たことがあって、そのときに投げていたのが斉藤和巳さんでした。全速力でマウンドに向かう姿が、気持ちが出ていてとてもカッコよかった」 9月9日、ヤフオクドーム。加治屋の名前が球場内に
コールされた。今シーズン59試合目となる“ダッシュ”だ。出番は1対0でリードの8回。よほど信頼のおけるセットアッパーでなければ託されることのない、最高潮に緊迫した場面で送り出された。この時点で59試合登板はチーム内で一番の数字。パ・リーグでも
ロッテの
益田直也にわずか1差の2位である。まさしくフル回転のシーズンを過ごしている。
「周りは疲れを心配してくれるけど、僕はどんな試合だって投げたいと思っています」 登板数は信頼の証だと考えている。
「シーズンが始まったときは、こんな数字は想像もつきませんでした。ここまで来たら60だって70だって投げたいと思っています。周りの方はやっていれば自然と増えていくだろうと思っているかもしれませんが、僕にそんな考えはありません。突然、何が起こるか分からないですから」 昨年まで、入団4年間で一軍マウンドは4試合しかなかった。
2014年ドラフト1位で
ソフトバンク入り。
松井裕樹(現
楽天)、
杉浦稔大(現
日本ハム)をいずれも抽選で外しての「ハズレ、ハズレ」の1位だったが、球団は150キロ近い速球と140キロ台の高速フォークという類稀な武器に惚れ込んで高評価で指名をした。その証の一つが・・・
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