自信も意地もあった。だが、投手とかみ合わぬリードが続く中で、一つの“気づき”から変わった意識。“絶対”でなくてもいい──。干し餅のように、必要とされるときを待ち、自らの役割を全うする。胸に秘める思いが、今季の飛躍を支えていた。 文=喜瀬雅則、写真=石井愛子 心に刺さった格言
2つのルーティンから朝が始まる。リビングに鎮座する3枚のお札の真ん中は、伏見家にふさわしく「京都伏見稲荷」。目覚めると、まずはその神棚に向かい、両手を合わせる。
きょうも元気に、楽しく野球がやれますように──。
そう誓うと、続いて「日めくりカレンダー」をめくる。そこに添えられた『言葉』を読み、迎える新たな一日への意欲をかきたてる。
「いつ読んでも、ポジティブになれるんです。すごく尊敬できる方ですし、一度、ぜひお会いしてみたいと思っているんです」 敬愛してやまない、その“言葉を発する男”とは、元プロテニスプレーヤー、現在はスポーツキャスターとしても活躍する松岡修造だ。カレンダーには、常に元気過ぎる松岡が発する、常人の発想ではちょっと思いつかないような“格言”が、1カ月、31日分、日ごとに記されている。
ある朝のことだった。
伏見寅威の手がふと止まった。ページは『17』。つまり、17日の言葉だった。
「これだ!」。自分が、今置かれている立場が、その短い言葉にこもっているような気がしたのだ・・・
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