輝ける日本シリーズMVPから5年。だが、それ以前からも故障や浮き沈みと真正面から向き合ってきた。美馬学が持つ、芯が一本通った強い心。その源泉には、家族との深い絆があった。 文=金野正之(河北新報社) 写真=井沢雄一郎、BBM 通算6度目の右ヒジ手術
7月17日、
楽天の美馬学は後半戦開始2戦目の
ロッテ戦(ZOZOマリン)で先発を任されていた。前年に11勝し、
則本昂大、
岸孝之とともに先発3本柱と呼ばれた右腕は、開幕からの6連敗に始まり、わずか1勝と精彩を欠いていた。チームは昨季クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージに進む躍進を見せ、今季は東日本大震災後の2013年以来となるリーグ制覇の期待が高まっていた。だが6月中旬までに20もの借金を背負い、
梨田昌孝監督から
平石洋介監督代行にバトンタッチ。後半戦初戦を白星発進したチームが浮上の流れに乗るカギの一つが、美馬の復調だった。
この試合、1、2回と三塁に走者を背負い、序盤から踏ん張りどころが続いた。それでもこの日最速148キロの速球と、内外角の揺さぶりを駆使してしのいだ。3回に1対1と同点を許すも4回は無失点に。5回はスイスイと二死まで来たところで遊撃の
茂木栄五郎がゴロをファンブルして打者走者の出塁を許した。ここでも美馬は粘り、3回に同点打を許した
井上晴哉を外角への変化球で狙いどおりに二塁ゴロに仕留め、味方のミスをフォロー。何事もなかったようにマウンドを降りた。
続く6回表に勝ち越し点をもらい、美馬は勝利投手の権利を得た。だが・・・
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