2月1日、背番号「1」が誰よりもいい動きをしていた。歴代2位の連続試合出場を続けた鉄人。今季38歳を迎えるベテランが「ショート」のレギュラーに再挑戦する。もう一度試合に出続けたい理由は「家族のため」。この強い絆があるからこそ、レギュラー獲りに、自信はある。 文=佐井陽介(日刊スポーツ) 写真=BBM 家族との絆を確信
現役続行か、それとも……。野球人生の岐路に立たされているはずなのに、
鳥谷敬は南国の地で驚くほど楽しそうに泥にまみれていた。
「大前提として、野球を続けるのか辞めるのかを自分で考えられるだけでも幸せだと思うから。38歳になるシーズンで、勝負に勝てばポジションを取れるかもしれない状況がまずありがたい。それは幸せなことだと思っているしね」 沖縄・宜野座キャンプで早くも紅白戦に出場した2月11日。予定の2打席を終えて若手に出番を譲った直後、真っ黒に日焼けした顔面の目尻にシワを作ってみせた。
「追い込まれたと思ってやろうが、そう思わずにやろうが、やらないといけないことは変わらないでしょ? それなら毎日楽しく、1時間なり10分なり1分を大事にして、結果を受け入れられるだけの日々を過ごしたほうがいい」 全身から発せられるワクワク感を隠し切れない。どん底に足を踏み入れた1年間によって、負けず嫌いな向上心がまた強くかき立てられたのかもしれない。
昨春、鳥谷は毎日のように自問自答していた。
「自分から『試合に出なくて構いません』『二軍に行かせてください』と伝えたほうがいいのだろうか」「いや、出る、出ないは選手が決めることじゃない」──。
公の場で一喜一憂をあらわにすることはなかったが、人知れず苦悩の真っただ中にいた。
三塁手としてスタートした2月の沖縄キャンプ中、当時の
金本知憲監督から二塁へのコンバートを告げられた。慣れないポジションに戸惑ったままシーズンに突入。開幕から打撃の状態も上がらず、出場機会は一気に激減していた。
そうなると当然、注目は歴代2位にまで上り詰めていた連続試合出場の行方に集まっていく。
「Xデーはもう近いんじゃないか」 周囲のザワつきが増す中、試合終盤での途中出場が続く日々。記録のために出続け・・・
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