突如、訪れたトレード移籍という転機。涙ながらに新天地での飛躍を誓い、がむしゃらにアピールを続けている。大先輩が現役を退くことを決めた2019年。成長した姿を見せることこそが最大の恩返しだ。 文=梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ・チーム広報) 写真=高塩隆、BBM 涙の別れと決意
その日は仙台でのナイトゲームを終えての移動日だった。2018年7月26日。新千歳空港に降り立つと、チームマネジャーに呼び止められた。「このまま、一緒にホテルまで来てほしい」。その瞬間、直感でトレードだと分かった。
岡大海は入団から5年間お世話になった
北海道日本ハムファイターズに、心の中で静かに別れを告げた。思えばファイターズでの最後の打席は7月24日、仙台での
楽天戦(楽天生命パーク)。延長10回に
青山浩二を相手に空振り三振となった打席だった。
「ファイターズはもともとトレードが多いチームなので。時期的なことも考えてピンと来ました。前年からチームに貢献できていなかったですし、ずっと頭の中では『そういうことも考えられる』と覚悟はしていました」 呼び出された札幌市内のホテルに向かうと球団幹部からトレードの通告を受けた。単刀直入に「トレードが決まった」と伝えられた。覚悟ができていたため動揺はなかったが、相手が同一リーグのロッテであったことには驚きがあった。
気持ちの整理ができていたとはいえ、それでもいざその現実に直面すると心にポッカリと穴が空いたような気持ちになった。その日はなかなか寝つけないまま、翌日、荷物を整理するために札幌ドームを訪れた。本拠地での
オリックス戦の練習開始前。
栗山英樹監督とは監督室で話をした。「申し訳ない」と頭を下げてくれた。
「自分のほうこそファイターズに貢献できずに悔しい、申し訳ない気持ちでした」 そのときの心境を岡はそう振り返る。スーツ姿でグラウンドに姿を現すと円陣が作られ、仲間たちへの別れの挨拶の場が設けられた。拍手で送り出されるともう、あふれる涙を止めることができなかった。
「感謝の気持ちを伝え、これから敵になるので、思い切りぶつかって戦いたいという話をしました。みんなに声を掛けていただいて、すごくうれしかったです」 14年ドラフト3位で日本ハムに入団。近い将来、中心選手となることを期待されながら、故障もあって、なかなかレギュラーに定着できなった。そして人生の転機として・・・
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