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野球浪漫2019

DeNA・伊藤光 取り戻した誇りと輝き 「捕手というポジションは、チームが勝ってこそ評価される」

 

この男の存在がなければ、今季のベイスターズはどうなっていたのだろう──。そう感じられるほど守備では司令塔として、打っては下位からチャンスメークして上位につなげる打線のキーマンとして、勝利への貢献度は計り知れない。オリックスから移籍して約1年、ようやく腰を落ち着けてプレーができるようになった伊藤光が、新天地で生き生きとプレーする。
文=小林陽彦(共同通信社) 写真=BBM

交流戦中に肩の違和感で大事を取った時期もあったが、今季はメーンでマスクをかぶる/写真=井田新輔


「師」と仰ぐ先輩捕手の存在


 電撃トレードからちょうど1年になる。伊藤光は横浜DeNAベイスターズの正捕手として若い投手陣の能力を引き出し、春先につまずいたチームをAクラスまで押し上げてきた。

 6月1日の横浜スタジアムでは強打のヤクルト打線に的を絞らせず、ルーキー上茶谷大河をプロ初完封に導いた。昨季チームで1試合のみだった完封は早くも4度目。そのすべてで伊藤光がマスクをかぶっている。

「完封は良い結果だけれど、僕の中では9回で3失点というのを置いている。もちろん投手の0にこだわる気持ちは大切にしたいけれど、そればかりでは自分を苦しめてしまう」

 一喜一憂することなく、試合後はすぐに作業に移る。投球チャートを手元に試合の正面映像を第三者の視点から見直し、結果よりも配球のプロセスが適切だったかを吟味する。「完璧な勝ち方に見えても、実際に完璧な試合はない。反省して翌日に生かす。先発投手も変わるし、中継ぎなら同じ打者との対戦もあるから」。

 その試合をネット裏からある男が見届けた。「まだまだだけどね。自分でしっかり考えてやっているとは思う」。オリックスのスコアラー・前田大輔は、その後に始まる交流戦に備えてセ・リーグ球団の偵察に来ていた。

 前田は、伊藤光が師と仰ぐ存在だ。同じ捕手としてともにオリックスで過ごし、秋季キャンプ地の高知で連れ立った屋台餃子での野球談議は、20歳を超えたばかりの伊藤光がプロを知る礎となった。2011年オフ、前田の引退と同時に背番号「22」を譲り受け、ソフトバンクと歴史的な大熱戦を演じた14年。伊藤光はパ・リーグの捕手タイトルを総なめし、前田はチーム本隊に帯同してバッテリーの戦略面を支えた。その後、コーチに就任。オリックスの正妻から球界を代表する捕手へと伊藤光が駆け上がった歩みは、前田との二人三脚と言えた。

「あのとき、成績が良かったのは前田さんのおかげです。前田さんは常に一歩先を考えていて、何を聞かれても答えを持っている。僕からしたら、困ることのない年だった・・・

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苦悩しながらもプロ野球選手としてファンの期待に応え、ひたむきにプレーする選手に焦点を当てた読み物。

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