巨大戦力を誇るソフトバンクから、左腕不足に悩むヤクルトへ無償トレードでやってきた。それでも移籍1年目は結果を残せず、後がないことを悟る。かつて“育成の星”と呼ばれた左腕は、力強く再生を果たした。 文=菊田康彦 写真=井田新輔、BBM 過去より未来
「これからも粘り強く、チームに勝ちを持って来れるようなピッチングをしていきたいと思います」 ヤクルトの左腕・
山田大樹がそう言って笑顔を見せたのは、6回2失点で勝利投手となった8月1日の
DeNA戦(横浜)後のこと。7月8日の同カード(神宮)で、移籍後初の白星を手にして始まった自身の連勝は、これで「4」に伸びた。ヤクルト2年目にして崖っぷちに立たされていた山田大にとって、それは野球生命をつなぐ4連勝だった。
「地に足が着いていなかったのかなって思いますね。移籍1年目で結果を出さなきゃいけないとか、(結果を)求められてるとか、考え過ぎた部分もあるのかなと思います」 プロ入り以来11年間を過ごしたソフトバンクから、トレードでヤクルトに移籍した昨シーズンを、山田大は振り返る。一軍での登板はわずか2試合。いずれも先発して早い回でKOされると、その後は一軍から声がかかることはなかった。
今年で終わりかも──。そんな思いも頭をよぎったものの、年俸微減で残留。あらためて過去を捨て、前だけを向いていこうと決意した。そこには、ソフトバンク時代の2016年に結婚した夫人の存在があったという。
「イチローさんの名言集に『過去より未来』っていう言葉があったんですけど、自分は過去にすがってたというか……。そうじゃなくて今をどう生きるかっていうところに自分の気持ちをシフトチェンジできたのは、妻の影響もあるんです。僕はどっちかっていうと後ろ向きで、石橋は3回たたいてから渡るかどうか迷うぐらいなんですけど、『渡ったほうがいいじゃん』って言うのが妻なので。名言集みたいなのも妻が作ってくれていて、僕はそれを毎日読むようにしてから少しずつ考えが変わって・・・
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