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野球浪漫2019

中日・谷元圭介 運命に抗え 「中日に来てから、何もしていない。何の結果も残していない」

 

身長167センチ。高校まではまったく無名。それでも自らの力で道を切り開いてきた小さな右腕は、運命の糸に導かれるように、プロの世界へとたどり着いた。そして今度は“年齢”という、誰しもが直面する運命に抗う。「中日で結果を残す」──その誓いのために。
文=島田明(中日スポーツ)、写真=井田新輔、BBM ※本文内の年表記は2019年時点


2020年への覚悟


「野球をやる上で年齢は関係ないと思う。オジサンというか、来年は35歳になるシーズンになるけど、まだまだやれるところを見せたい。若い子たちに負けていられない」

 11月25日、ナゴヤ球場に隣接する選手寮の昇竜館で契約交渉を終えた谷元圭介は、屋内練習場2階の一室で記者会見に臨んだ。事前に球団側からは減額制限(1億円以下は25%)を超えるダウン提示を伝えられ、了承していた。年俸8500万円から2500万円ダウンの6000万円で更改(金額は推定)。「しっかり下がりました」と納得してサインし、視線を来季へと向けた。

 2017年のシーズン途中に日本ハムから中日へ電撃トレード。世間を驚かせた移籍に関しては後述するが、中日移籍後は決して満足いく結果を残せたとはいえない。そのことは、谷元自身が何より感じていた。記者は何度かその口から「中日に来てから、何もしていない。何の結果も残していない」と、苦しい胸の内を聞いた。

 危機感はいやが応でも募る。ただ、今オフは昨年とは明らかに違う。まだまだやれる──。手応えを一方で感じているからだ。

 そもそも18年と19年シーズン、ともに数字上は満足いく成績ではないにしても、中身がまったく異なる。中日で結果を残したい。その思いが強過ぎて空回りしたのが18年。わずか8試合の登板で、防御率は14.90。日本ハム時代の谷元を知る人たちからすれば、信じられない数字だろう。

 19年シーズンは新たに就任した与田剛監督の信頼も厚く、キレのあるボールはもちろん、踏んできた場数から培われた経験を頼りに、谷元の主戦場はタイトな場面がほとんどだった。一死満塁、二死二、三塁……、しかも点差は1点リードや同点、ビハインドでも1点差など。厳しい場面を任され続け、谷元も起用に応え続けた。ただ、それは前半戦のみだった。

「去年は登板数もコンディションも良くない状況だったので、今年に懸ける思いが強かった。それでちょっと・・・

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