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野球浪漫2020

日本ハム・王柏融 大王の逆襲 「この状況を乗り越えたら必ず今よりも成長できるはずですし、良い結果になると信じている」

 

夢でもあった日本球界挑戦だったが、台湾の「大王」が大きな壁にぶつかっている。故郷で応援してくれている家族や仲間たちの思いも背負いながら挑む来日2年目のシーズン。覚悟を力に変え、チームの勝利に欠かせないピースとなるために、王柏融の視線は前だけを向いている。
※成績・記録は8月4日時点。文=金田正大(スポーツライター)、写真=山口高明、BBM


もがき苦しむ台湾の至宝


 夏本番を前にしてのことだった。7月26日、王柏融は福岡PayPayドームのグラウンドから姿を消した。出場選手登録抹消。11打席連続無安打、打率.097と不振に喘いでいた現状に栗山英樹監督が決断した。「調子を上げるために、とにかく打席に立たせるしかない。スタメンでいきましょうっていうのをこっちは待っているだけだから」と、積極的降格の意味合いを強めた。

 王のもがき苦しむ打撃を見かねての決定だった。指揮官は「ずっと考えていたよ。どうしてもホームランやヒットを欲しがるし、打ちたいのは分かるけど、自分のスイングをしないといけない。これって、たくさんずっと試合に出ないと無理だなっていうのもあった」。二軍で打席に立たせ、本来の姿を取り戻させるための降格だった。

 来日2年目の今シーズン、意識改革に力を入れてきた。背番号も99から「3」に変わり、心機一転。小笠原道大ヘッド兼打撃コーチの指導を仰ぎ、積極性も身に付けた。それが結果に表れたのが6月5日、DeNAとの練習試合(横浜)。球界屈指の左腕・今永昇太から右越えに2ランを放った。1年目、右投手と比べ対戦成績は少なかったものの、対左投手は打率.197と苦手としてきた。小笠原コーチからの「積極的に振っていこう」「結果を恐れず、空振りしてもいいので、しっかり振っていって、その中で試合感覚をつかんでいこう」という助言に最高の形で応えてみせた。

 手応えは確かにつかみつつある。王は「昨年は1年目ですし、いろんなことが分からなくて、迷いながら打席に立ったり、自分の良さも出てなくて。それで迷って、考え過ぎてしまったところもあった」と回顧。右肩関節の骨挫傷などの故障で離脱することも多かった。「今シーズンはとにかくバットを積極的に振っていくことを一番大事にしています。コーチの皆さんが一生懸命、選手のことを考え、サポートしてくれているので。こちらも何とか期待に応えたいですし、チームの力になりたい」。気持ちを新たに、逆襲に向けて強い決意を・・・

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