一生懸命に生きる姿が、プロ野球選手の新様式へ。北海道日本ハムの杉谷拳士は、未開の道を進んできた。チームの中心選手に適用される形容詞「主力選手」の固定観念を覆し、1つの選手像を確立させようとしている。 文=秋山清(スポーツライター) 写真=山口高明、高原由佳、BBM 運命の糸に導かれて
今季で12年目、一度もレギュラーをつかんだことはない。中堅クラスのカテゴリーに属す今も、バイプレーヤーとして活路を見い出している。主戦場はベンチだが、底抜けの明るさでムードを整え、変える。チームが重苦しい流れのときはスタメン起用され、劣勢の試合展開では局面打破のために途中から投入される。
「厳しい場面での出番が多い。大事な場面で、流れが悪い場面で使ってもらったりもしている。難しい場面だからこそ、あいつに任せたいと思ってもらえるような選手になりたい。そこへ向け、そういう場面での成功確率を上げるために、毎日精いっぱいの準備をしています」 特異な「愛されキャラ」は老若男女問わず、高い人気を集める。少年少女からはスター選手をしのぐ、あこがれの的にもなっている。数多の才能がひしめくプロ野球の世界で1つのステータスを確立し、欠かせない唯一無二のプレーヤー。ある意味でチームの「主力選手」と表しても異論がない、存在価値を築いた。
強い自覚と使命感がある。
「あと何年、現役選手としてプレーできるか分からないですけれど、楽しく野球をやりたい。残りの野球人生も明るく、楽しく、野球をして。僕みたいな選手を見て、野球を始めたいと思ってくれる子どもたちが少しでも増えてくれたらうれしい」 奔放で機知、ユーモアに富んだ発言、パフォーマンス。死球時のコミカルなオーバーアクションなどが切り取られがちだが、・・・
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