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野球浪漫2022

西武・與座海人 象徴的な存在へ 勝つ難しさと、野手の思いを感じた──。「僕の中で、人生で1、2番目ぐらいに印象に残っている試合です」

 

入団から2年間、ケガで苦しんだ男が5年目の今季、一軍で躍動している。6月30日現在、5勝、防御率2.17と好成績をマーク。球界でも希少なアンダースロー・與座海人は、その象徴的な存在となるべく、日々成長を遂げている。
文=上岡真里江 写真=川口洋邦、BBM


一軍マウンドをイメージ


 2022年5月17日、ソフトバンク戦。アンダースローから繰り出す低めのカーブで甲斐拓也を空振り三振に仕留め回を締めると、固く握り締めた拳を力強く振り落とした。自己最多の8イニング、117球を投げて無失点。しかも、球場は地元・沖縄県のセルラースタジアム那覇という最高の舞台でのキャリア最高のピッチング。

「よっしゃ!」

 足早にマウンドを降りてベンチに向かうその表情は、充実感でみなぎっていた。

 4年前、これほどの活躍を予想することはできなかった。だが、そんな自分を想像することが、與座海人の唯一の支えでもあった。

 18年、岐阜経大からドラフト5位で西武に入団したが、大学時代から発症していた右ヒジ炎症の回復具合が芳しくなく、プロ野球人生のスタートは苦悩に満ちたものであった。検査の結果、ヒジの状態は手術を必要とするほど悪いものではなかったため、注射や治療、リハビリなどできる限りすべてのことに取り組み、完治に努めていた。だが、7月になっても、8月になっても、良化と悪化を繰り返すばかり。

「1度はブルペンにも入れてはいたのですが、ブルペンで投げたら痛みが出て。で、また休んで、治療しながら状態が上がって、やっと2度目のブルペンに入れそうだなというところで、また痛くなって……という感じでした」

 やはり、気づかないところで本能が患部をかばい、別の部分へ負担をかけていたのかもしれない。9月に再度検査を受けた結果、じん帯が伸びてしまっている症状が見られたため、手術を受けることを決断した。

 いま、あらためて振り返ると・・・

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