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野球浪漫2022

日本ハム・中島卓也 14年目の新たなトライ 「これからは家族のためにも頑張らないといけないし、長く野球をやりたいかなという気持ちになる」

 

かつてはベストナインに輝いた内野守備の名手が、プロ14年目にして新たなポジションにトライすることになった。家族の存在をモチベーションに、来季は新球場で完全復活、さらなる飛躍を誓う。
文=金田正大(スポーツライター) 写真=高原由佳、榎本郁也、BBM


指揮官との出会い


 2022年のシーズン終盤。プロ14年目の中島卓也に、思わぬサプライズが待っていた。9月15日のオリックス戦(京セラドーム)に「一番・中堅」で先発出場。もちろん本職は内野手で、外野手でのスタメン出場は初めてだった。

「まさか14年目にして、外野を守るとは思っていなかった」

 普段は感情を表に出すことは少ないが、このときばかりは驚きを隠せなかった。前のカードの試合前練習中に、新庄剛志監督から「センターやっといて」と言われていたが、どこか半信半疑な気持ちのほうが大きかった。

 試合では近藤健介の外野手用のグラブを借り、武器である俊足を生かして好捕するなど躍動。試合後は「疲れました」と苦笑いを見せた。試合中の守備交代や途中出場を含めれば、外野守備はキャリア3度目だったが、難なくこなした。新庄監督からは「センスある足の動きをしていた。十分、守らせることができる選手。外野で自由に走り回らせたほうが、バッティングも良くなっていくんじゃないかな」と絶賛された。2015年に遊撃手部門でベストナインを獲得したことがある“内野の名手”が、新たな才能を感じさせた瞬間だった。

「外野になると景色とかも変わって、外野手の気持ちも分かってくる。外野から見て内野手の動きなども分かるので、またいい経験になるかなと思っています。いろんな野球観も身についてくるかなと思うので、これをいい経験にして、来年に向けてやっていきたいです」

 近年は思うようなパフォーマンスを発揮できないシーズンが続いていた。若手の台頭もあって、20年からは出場試合数が100試合に届かず、少しずつ出場試合数が減っていく。かつては周囲をうならせた安定感のある内野守備でも、失策が目立ち始めた。

「悔しい気持ちもありました。若い選手が(二軍から)上がって行くのを見ていたので。しっかりファームでやるべきことをやっていけば、またいつかチャンスは必ず来ると思ってやっていました」

 今年就任した新庄監督との出会いで、野球人生はまた大きく動き出した・・・

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