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野球浪漫2023

ロッテ・茶谷健太 『ゼロから』を恐れない「ロッテは拾ってくれて、育ててくれた。打順はどこでもいいので、チームに貢献したい」

 

いつ、どこで出番があるか分からない。だからこそ、入念に準備する。プロ入り後に野手転向、3年目で自由契約、育成選手として新天地へ。どんな逆境でも「ゼロから」の挑戦を恐れず、一歩ずつ前に進んできた。
文=福永智隆 写真=桜井ひとし


「四番」でも平常心


 5月17日のオリックス戦。試合前の場内アナウンスに、本拠地ZOZOマリンスタジアムが驚きに包まれた。「四番・一塁・茶谷健太」。プロ8年目で初めて開幕一軍をつかんだ今シーズン。途中出場や日替わりのスタメン出場の中で結果を残し続け、初の四番。最近の活躍を知るファンの期待が高まる中、おのずとチャンスで回ってくる。

 4回無死一、三塁。相手先発の田嶋大樹に2球で追い込まれたあと、ファウルで粘って7球目のチェンジアップを振り抜いた。ライナー性の当たりをセンターへ運び、先制点をもたらした。一塁上ではいつもどおりに控えめに声援に応える姿。5回にも適時打を放ち、2打点で殊勲のヒーローに。お立ち台では、「ただ4番目というだけなので……。良かったです」。最後まで謙虚だった。

 四番は、前日に伝えられた。

「本当にリラックスして、普段どおりに試合に入れました。チームの雰囲気を変えるためじゃないですけど、そういう面でやっていると思うので」

 持ち続ける「出たところでチームに貢献できるように」という思いは、四番で起用されても変わらなかった。吉井理人監督は昨秋から「四番・茶谷」の計画があったと明かした。

「誰が一番ヒットを打つ確率が高いかなと考えたら、茶谷だった。昨年の秋、フェニックス・リーグにいるころから彼のバッティングが良いのは知っていたので、使えるなと。三振が少なく、いろんなアナリストから彼のスイングはいいよというのを聞いていました」

 昨シーズン終盤に遊撃のスタメンが増え、自身最多の57試合に出場。さらなる進化を求めた昨秋のフェニックス・リーグは一つのきっかけになった。

「堀さん(堀幸一=二軍打撃コーチ)と一緒にやっていて、これかなというのがありました」。バットが滑り、弱い打球が多かった欠点を堀コーチとともに修正し、バットのヘッドを立て、強いライナー性の当たりを意識。春先の練習試合も経て、徐々に感覚をつかんでいった。

「四番打者のイメージは?」と問われた茶谷は・・・

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