大きな期待を背に駆け抜けたルーキーイヤー、決して大きな結果を残したとは言えないが、経験値こそ最大の財産と前向きにとらえ、勝負の2年目を迎えている。遊撃のポジションを手にするために――。 取材・構成=杉浦多夢、写真=高塩隆、上野弘明、BBM 遊撃のポジションを奪いにいきたい
「チャンスだと思います――」
切れ長の目の奥には強い光が宿っていた。春季キャンプインの前日、
伊東勤監督が2016年のベストナイン遊撃手、キャプテン・
鈴木大地の二塁コンバートを告げると、若き内野陣の目の色が変わった。
中村奨吾、
大嶺翔太、
三木亮――もちろんその中では最年少である平沢大河も例外ではない。「ショートをしっかりやれという(監督の)メッセージだと思う」と語った19歳は、レギュラー奪取を本気で狙っている。
「大地さんのセカンドへのコンバートで、僕がずっとやってきたショートというポジションが空いたというのはやっぱり大きいですね。年齢はまだ若いですけど、もちろん(遊撃のポジションを)取りにいく覚悟はあります。先輩方もショートのポジションを狙っている人はいっぱいいますし、競争はすごく激しくなっています。でも、そこは遠慮することなく、意識して取りにいきたいと思っています」
空いた遊撃のポジション奪取へ。自分の“主戦場”だという胸に秘めた思いは強い
昨年の春季キャンプ、話題の中心には常に平沢がいた。攻守走を兼ね備えた黄金ルーキーはキャンプ序盤、高卒の内野手としては
立浪和義(元
中日)以来となる、28年ぶりの開幕スタメンもあるのではと騒がれていた。ところが実戦が進んでいくにつれ、まず守備で未熟さを露呈していく。結局、開幕はファームで迎えることになったが、二軍戦では持ち前の打撃センスを遺憾なく発揮し、5月11日に一軍へ昇格。ところが今度は自慢の打撃で、プロの分厚いカベに直面することとなった。
「春先から二軍の試合では当たりが出ていたのですが、やっぱり一軍と二軍では全然違いましたね。まず球場の雰囲気が違う。そこで戸惑ったところはありました。もちろん、技術的な部分ではあらゆる面で差を感じました。特にバッティングです。まず、バットにボールが当たらなかったですから。今のままではダメだ、ということをあらためて感じました。ただ、そういったことを感じることが・・・
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