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その才能に疑いの余地はない。誰もが認めるポテンシャルの高さで「ポスト・松井稼頭央」の筆頭株として期待も大きい西田哲朗。プロ5年目の今シーズンは開幕から一軍に定着し、5月に入ってからは連日スタメンに名を連ねている。もう、ポジションは渡さない─。悔しさを味わった苦闘の日々を乗り越え、新進気鋭の22歳がいま開花のときを迎えようとしている。
取材・構成=松井進作 写真=川口洋邦

「ポスト・松井稼頭央」プロ5年目の覚醒なるか

─5月に入ってからはショートでのスタメン出場も増え、いままでにない充実感の中で野球ができているのではないですか。

西田 本当にそれはあります。過去4年間は結果も出せず、それこそケガばっかりして悔しい思いをしてきたので、まずはこうして一軍の舞台で元気に野球ができていることがうれしくてしょうがないですね。

─昨年は開幕一軍に名を連ねるも、4月下旬に不振でファーム落ち。降格後も腰痛などに苦しめられて不完全燃焼の1年になってしまいました。

西田 チームの優勝にもほとんど貢献できませんでしたし、「本当に自分はいままで何をやっていたんだろう」とあらためて痛感させられた1年でもありましたね。

─それは具体的に言うと?

西田 一番は体作りの面での取り組み方です。何度もケガをするのには何かしらの原因が僕の中に絶対にあるわけで。まずはそこから変えないといけないなと。それでキャンプからとにかくケガをしない体作りに重点を置いて、いままであんまりやってこなかった全体練習の前に、体のケアやウォーミングアップ的なトレーニングをルーティンに課していました。あとは自分の中の意識改革ですよね。「本当に今年ダメなら後がない」ぐらいの強い気持ちで今シーズンはやっていこうと思っているので、なんとかポジションをつかめるように、これからも全力でアピールしていきたいです。

─そのキャンプからの取り組みの成果は結果にも表れてきています。5月10日のロッテ戦(QVCマリン)では藤岡貴裕投手からプロ5年目での初ホームランもマークしました。

西田 うれしかったですね。「いつ自分はホームランを打てるんだろう」と内心ずっと思っていたので安心しました。それで翌日の試合でも連続で出てくれたので、キャンプからやってきたことが間違ってなかったと思えましたし、自信にもなる1本でした。

▲5月10日のロッテ戦(QVCマリン)では念願のプロ初ホームランもマーク。未完の大器に待望の瞬間が訪れた



─フィジカル面以外にも、技術的に昨年から何か変えたことは?

西田 バッティングフォームやミートポイントとかは特に変えたことはないんですけど、今シーズンは下半身を使いながら体の軸で回転して打つことをより意識しています。どんなに崩されてもそこだけはブレないようにというか。昨年まではそれこそ1打席、1打席でフォームもバラバラになってしまっていた部分もあったので。

─それが打撃好調の要因だと。

西田 それもあるんですけど、あとは対戦する投手のデータも昨年以上に分析して、自分の頭の中でしっかり整理できている点も大きいと思っています。試合前の準備段階でできることはすべてやる。本当に少しずつかもしれませんが、こうした一つひとつの積み重ねが良い方に出てくれているのかなとは感じています。

─一方でショートの守備に関してはいかがですか。現在の一番の課題を挙げるなら?

西田 守備に関しては挙げればキリがないんですけど(苦笑)、まずは1試合を通しての集中力ですかね。そこが少しでも落ちてくるとミスが生じてしまうので、いかに9イニングで同じ集中力を保てるかが課題でもあるんです。あとはバッテリーの配球や相手のバッターの特徴を見ながらポジショニングをもっと自由自在に変えたりできるようにもなりたいです。自分の守備で少しでもピッチャーを助けられるように。

─チームには松井稼頭央選手、藤田一也選手という素晴らしいお手本がいますが、西田選手にとって2人はどんな存在ですか。

西田 もう、すご過ぎる存在です(笑)・・・

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