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巨人・鈴木尚広 チームの勝利のために1つでも先の塁へ

 


勝負を懸けるゲーム終盤に、これほど頼りになる男はいない。警戒をかいくぐり高確率で成功させるスチールと巧みな走塁技術、そして脚力を生かした堅実でダイナミックに魅せる守備。常に重要任務を託される中で、今季達成した通算200盗塁の価値は、数字以上と考える必要があるだろう。ジャイアンツが誇るスペシャリスト・鈴木尚広に話を聞いた。
取材・構成=坂本匠、写真=大泉謙也、菅原淳、桜井ひとし

僕らしい200盗塁
成功率が最も重要


――塁上で“勝負します”の決意を込めたオレンジの走塁用手袋がグラウンドの緑に映えていますね。

鈴木尚 少し前まではシルバーのラインが入っていたりしたんですが、年々飾りが削ぎ落とされて今はもうオレンジ一色。2006年ころから採用しているので、ファンの皆さんにも『鈴木=オレンジ』と認識していただけていますね。1シーズンでこの1セットを使い続けると決めていて、けん制を受ける機会も多いですから、5月末ですが、いい汚れ具合になってきているんじゃないかと思います。

――手袋の傷は、厳しい警戒をくぐり抜けてきた証しですね。

鈴木尚 そうですね。塁上でこの傷を見るとスイッチが入ります。

――そんな警戒をかいくぐり、今シーズンは5月25日時点で3盗塁。4月29日のヤクルト戦(東京ドーム)では、プロ野球史上72人目の200盗塁を達成しました。

鈴木尚 盗塁が記録されるかどうか微妙なケースでしたね(編集部注*同点の9回裏一死一、三塁で、一走・アンダーソンの代走で出場)。三塁ランナーが還ればサヨナラで、守備隊形を見ても二塁ベースカバーに入らなそうでしたから、初球から走ったのですが、これ盗塁になるのかな? と(笑)。

――トップスピードに乗って、代名詞でもある、飛ぶスライディングは見られず、スタンディングで二塁へ。しかも、緊迫の場面で花束贈呈もアナウンスもなかったですから、記録達成を待っていたファンも喜ぶに喜べず……。

鈴木尚 そうでしたね(笑)。長くやっていれば、こういうケースもあるということで。僕らしいと言えば、僕らしいですよね。

――ただ、試合後にお話を聞いても、その直後にサヨナラとしたことに喜びを表しつつ、ご自身の記録に関してはサラリと振り返るにとどめたことが印象的でした。

鈴木尚 もちろん、うれしかったですし、皆さんから祝福していただいてありがたかったのですが・・・

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