30年ぶりの日本一をかけて、10月11日からクライマックスシリーズを戦う広島。23年ぶりのリーグ優勝を逃した今でも日本一に立てるチャンスがあるのは大きなモチベーションだ。いざ、決戦へ。昨季のCSでは第1戦の先制打をたたき出した松山竜平に話を聞いた。 取材・構成=菊池仁志 写真=松村真行 ※成績、記録は10月5日時点のもの。 頂上を目指す戦い
──9月に入っての優勝争い、最後は
阪神との2位争いを繰り広げました。その中で9月30日の
ヤクルト戦(マツダ広島)では、同点の5回に一時勝ち越しとなる代打本塁打。いい仕事でしたね。
松山 よかったです。一死二塁でしたが、いつものように真っすぐだけ狙っていました。フルカウントからのチェンジアップだと思いますが、良い反応ができたと思います。代打なんで、僕が打てなくてもしょうがない、くらいに開き直って打席に立つようにしていて、とにかくラクにいこうと思っています。まあ、スタメンで出るときもそんな感じではあるんですけどね。
──代打とスタメンとでは気持ちの持ち方が違いますか。
松山 代打は1打席なので、スタメンの4打席以上に緊張感は高いです。だからこそ冷静に、ラクにいこうと心掛けています。簡単にはいかないですけどね。打てるとホッとします。
9月30日のヤクルト戦(マツダ広島)では代打で一時勝ち越しの2ラン。長打が期待できる左の大砲として、相手先発が右のときは先発、その他では代打要員としてチームに貢献する働きを誓う
──最後は
巨人に逃げ切られ、優勝を逃した悔しさがありますよね。
松山 僕らの狙ったところは頂上なんで、最後まであきらめずに、精いっぱい戦ったんですけど残念でした。僕自身としてはチームの勝利の力になり切れていないところがあって、こういう結果になったことに悔しさがあります。大事なところで打てないことがありましたし。1年間やっていますから、仕方がないところでもあるんですけど、優勝争いをしていて、それでは済まされないところもあります。そういう部分で頭に残っている打席はありますね。
──9月12日の阪神戦(甲子園)では四番を打つこともありましたが、力が入っていたように見えました。好機で結果が出ませんでした。
松山 あの時期に四番を打たせてもらって、なんか自分が自分じゃないという感覚でした。気持ちだけが空回りして、自分のバッティングができずに終わったんで、本当に悔しかったですね。
──ただ、経験をして、力が入った自分がいることを知ったことは次につながるのでは?
松山 これはこの先の戦い、そして来年以降にもつながると思うので、この先、何年プレーできるかは分からないですけども、1年1年が経験なんで(四番を)打たせてもらったことには感謝しています。そして、優勝を争った今年の1試合1試合が僕の中で大きなものになっていくと思います。
──シーズン最終戦まで順位が確定せず、短期決戦のような一戦必勝の戦いを続けました。
松山 残り試合が少なくなって、独特な緊張感の中でプレーしました。確かに短期決戦と似たような雰囲気でしたね。優勝を逃して、チームの空気も少し沈んだところがあったように思いますが、今度は地元でCSをやろうという思いの下に一つになってプレーできました。絶対にここで(マツダ広島)でやろうってみんな強く思っていましたね。それがモチベーションでした。
──昨年のCSファーストステージが甲子園でしたから、余計にその気持ちが強くなったのではないでしょうか。
松山 チームは連勝してファーストステージを勝ち上がりました。その空気は“楽しい”じゃないですけど、本当にこういう世界で野球がやれていて幸せだと思わされるものでした。僕は調子を落としていて何もできなかったんですけどね。
──阪神との第1戦で先制打を放って以降は、巨人とのファイナルを含めてノーヒットでした。具体的に何が悪かったのでしょうか。
松山 調子の悪さというより気持ちの面で、自分で自分を苦しめたところがありました。ちゃんとした自分でいられなかったんですよね。「ここで僕が打たなきゃ」とか変に思ってしまって、力が入っていつもどおりのバッティングができない。そこでの悔しい思いがあります。
──その経験があれば、今年は違った姿を見せられるのでは?
松山 去年と同じようにはなりたくないですからね。9月以降も調子は維持できていますし、そのままいけると思うので、今回は大きくチームの力になって、勝ちに貢献できればいいと思います。
阪神戦へ闘志
──ファーストステージで対戦する阪神のイメージを聞かせてください。
松山 先発投手陣が良くて、野手もメンバーがそろっています・・・
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