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ソフトバンク・上林誠知インタビュー 追い求める理想形 「イチローさん(マーリンズ)のように打率を残す選手になりたい。究極は10割打つこと」

 

6年ぶりにソフトバンクに復帰した川崎宗則がある試合後、興奮気味にまくしたてた。「ついにホークスはすごいモンスターを生み出した!」やってやろうという強い気持ちは、飛躍的に向上したバッティング技術に色濃く表れている。熱い思いを内に秘め、今日も冷静に打席に向かう背番号51。その後ろ姿には、同じ背番号でもあるあこがれのレジェンドプレーヤーが重なって見える。
取材・構成=菊池仁志、菅原梨恵、写真=湯浅芳昭


常に冷静さを貫いた自分のバッティング


4年目の21歳がソフトバンク打線の脅威をさらに高めている。4月下旬から「八番・右翼」でスタメン出場を継続。規定打席にも達し、打率3割をキープする。勝負強い松田宣浩の後ろでにらみを利かす存在だ。仙台育英高時代から巧みなバットコントロールを評価されてきたが、上林誠知はようやく才能が開花の時を迎えた。

──5月の月間打率は.355。手応えを感じる1カ月になったのではないですか。

上林 自主トレ、キャンプでつくり上げてきたものが徐々に形になって表れてきていると感じています。一番に思っているのは軽く振っているように見えて、打球は飛んでいるという状態をつくりたい。内川(内川聖一)さんのバッティングのようなイメージです。試合での打席でも力まずに打てるようになってきていると思います。

──そこが打撃面での課題だったのでしょう。

上林 やはり力が入ってしまうと、とらえたと思ってもファウルになるなど、イメージと実際の動きにズレが生じてしまいます。バッティングで大事なのは正確にインパクトすることだと思っていますので、そのために力みは必要ないものだという意識でいます。

──レギュラー定着に向けて結果を求められる立場にあって、自分の欲求が力みにつながるものだと思うのですが、どのように割り切っているのでしょうか。

上林 今、はっきりとした目標とか数字が見えているかというと、そうではなくて、試合に出られるようになって1年目なので、毎日全力で必死にやっているだけなんです。評価は周りの方々がしてくださるものなので、自分は自分のことをやるだけ。だから余計な力を入れなくてもいいのかなと思っています。そうした一日一日を積み重ねていって、今年1年間プレーすることができれば、分かってくるものがあると思うので、そこで明確な目標なども持てるようになるのではないかと考えています。

──もちろん、レギュラー獲得に貪欲ではあるのでしょうが、一線を引いているようにも感じます。

上林 自分を客観的に見ることも大事だと思っています。冷静に見たときに分かるものが出てくることがあると考えているので。試合中、もちろん「打ちたい」「勝ちたい」という気持ちも必要ですが、常に冷静でいることも同じように大事です。試合では結果が出ますが、終わったことを引きずっていても仕方がないので、すぐに切り替えるようにしています。試合後は打席の映像をチェックして、自分の感覚とズレていることがあれば確認したり、打席での気持ちの持ち方がどうだったかを整理したりはしますが。

──今季、開幕スタメンでスタートしましたが、4月は打率が2割を切ることもありました。昨年は与えられたチャンスで結果が残せず、二軍生活が長く続いたわけですが、今年、乗り越えられた要因を自分ではどう考えていますか。

上林 4月はたまたま結果が出ていなかったんですけど・・・

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