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故障の要因は中4日ローテ。でもエースは乗り越えなければならない

 


写真=AP
 田中将大投手が9日、右肘の炎症のため、故障者リストに入りました。前日のインディアンス戦に先発していた田中投手は、6回2/3を投げて2本塁打を含む10安打5失点。メジャー自己ワーストの被安打&失点でした。その前のツインズ戦では、7回を投げて9安打4失点と、2試合続けて不安を残す投球でした。

 直近の投球内容からツインズ戦もしくはその少し前あたりから疲労が蓄積していたのでしょう。それが右肘の炎症、故障者リスト入りの要因と見ています。

 肘に負担を強いると言われるスプリットやメジャー公式球の影響の話も出ていますが、メジャー1年目で、単純に中4日のローテで投げてきた疲労が出てしまったのだと考えます。日本のプロ野球での勤続疲労は気にしなくても良いと思いますし、ましてや故障持ちだったなんてことはありえません。藤川球児投手や和田毅投手のケースとは違って、田中投手は開幕からここまでローテを守って投げているわけですし。ヤンキースのメディカルチェックを通っているわけですから。

 ヤンキースのジラルディ監督が「離脱は大きな損失だ」とコメントしていたように、先発の台所事情が苦しくなったのは現実ですが、1〜2回登板が無くなった程度に考えていると思います。まあ、それでも復帰直後は様子を見て、中4日のローテを中5日に変更することは考えられますが、問題なければ中4日のローテに戻すのではないでしょうか。オールスター戦後のヤンキースのスケジュールは、オールスター明けからシーズン最終戦まで71日間で、試合数は68試合。休養日は3日です。しかも、オールスター明けから13連戦、13連戦、16連戦、そして26連戦。当然、先発投手の補強も考えているとは思いますが、田中投手に中4日のローテで回ってもらわなければ、ヤンキースも苦しいでしょう。復帰後に課される中4日のローテはメジャーで先発を張っていく以上、避けては通れない道です。

 田中投手はここまで、対戦回数1回目では10勝1敗と圧倒的な勝利を挙げてていますが、2回目の対戦は2勝3敗と、1度対戦をしたチームには苦戦をしています。

 オールスター明けはレッズ、インディアンス、ホワイトソックス、アストロズといったア・リーグ東地区のチームと2回目、3回目の対戦を迎えます。また、シーズン終盤に地区優勝やワイルドカードに絡みそうなタイガース、ロイヤルズ、インディアンスといったア・リーグ中地区ともローテ次第では、2回目の対戦のケースも出てきます。中4日のローテを守る調整法を身につけながら、目が慣れてきた強打者にどう対処していくか、田中投手がメジャーで大エースになれるか否かが問われる後半戦になるでしょう。
現役MLBスカウト「メジャーリーグレポート」

現役MLBスカウト「メジャーリーグレポート」

現役MLBスカウトによる連載コラム。スカウトならでは視点で日米の選手をジャッジするほかMLBについても語る。

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