3年ぶりのV奪還を目指す日本ハムの救世主として活躍できるか注目される(Getty Images)
メジャー経験のないミッチ・ライブリー
パ・リーグの首位を走る北海道日本ハムファイターズがリリーフ投手の補強に動きました。ナショナルズ傘下の3Aに所属していた
ミッチ・ライブリー投手(29)と契約を結びました。
今季、期待されていた
マイケル・クロッタ投手(30)が防御率9.39と絶不調だったということもあり、その穴を埋めるべくミッチ・ライブリーの獲得に動いたのではないでしょうか?さて、今回はそのミッチ・ライブリー投手についてお伝えしたいと思います。
メジャー経験のないライブリー投手は右投右打で、今年の9月で30歳となります。2007年のMLBアマチュアドラフトの16巡目全体492番目にコロラド・ロッキーズから指名されてプロ入りしています。
しかし、ルーキーリーグで6試合(防御率1.35)を投げた後に、すぐにロッキーズからリリースされ、その後独立リーグで11試合12.1回で防御率2.13という数字を残し、サンフランシスコ・ジャイアンツと契約します。
その後は、サンフランシスコ・ジャイアンツ傘下のマイナーで2014年シーズン途中までプレーを続け、その後ナショナルズに移籍をしました。2015年はナショナルズの3Aでプレーしていましたが、日本ハムから獲得の申し入れがあり、6月13日にリリースされていました。
ライブリー投手はは2012年まではリリーフ専任の投手でしたが、2013年以降は先発としても起用されています。ですが、キャリアの全てはマイナーでのものでメジャー経験がない投手です。
2A通算では55試合(先発0)で80.0回を投げて、防御率2.81/奪三振62/WHIP1.35、3A通算では126試合(先発44)で364.2回を投げて防御率4.12/26勝17敗/奪三振313/WHIP1.34となっています。2012年は3Aで47試合78.1回で防御率2.99という成績を残したものの昇格はできず、翌年からは先発もこなすようになりましたが、防御率は悪くなっています。
全体的に見て際立つような成績はないものの2015年に関しては18試合(先発2)で35.0イニングを投げて、防御率2.31/奪三振29/WHIP0.97という良い数字を残しているのは好材料と言えるのではないでしょうか?
奪三振率(9イニングあたりの奪三振数)はイニング数を上回るほどの数の三振は奪えいないため、目立つほど高くはなく3Aのキャリア通算でも7.72、2015年も7.46となっています。
少ない球種がネックになる可能性も
気になるのは与四球が少ない方ではないことで、与四球率(9イニングあたりの与四球数)はキャリア通算が3.6、2015年が3.3となっています。
奪三振率で数字が近いのは、NPBでは
カルロス・ロサ(千葉
ロッテ)の7.52、
武隈祥太(
西武)の7.03となるため、奪三振も少なくはないものの、特別多くもないという数字になっています。
先発投手としての登板が多かった2014年は防御率4.74/WHIP1.59とイマイチで、与四球率も4.0、被安打率も10.3と悪かったのですが、再びリリーフでの登板が多くなった2015年は数字が向上していますので、先発はローテの谷間や緊急事態のみに限定し、基本はリリーフとして起用したほうが力が発揮できそうな投手ではないでしょうか。
彼の投球フォームの特徴はオールドスタイルのワインドアップモーションです。昔の投手で例えるとノーラン・ライアン投手に似ています。平均球速は90マイル前後、特に日本の柔らかいマウンドでは基本的に球速が落ちますので、最速でも140キロ半ばが出る程度になるのではないでしょうか。
奪三振率、与四球率、被安打率を見ても、圧倒的な力で封じ込めるほどのリリーフとしての投球は期待しにくいと考えられる数字が並んでいます。150キロ超の球速がでない場合に、頼れる変化球がスライダーだけとなるとコンタクトに優れる打者が多い日本のプロ野球では、苦しくなりますので、チェンジアップか、もしくはツーシーム、カットボールなどボールを動かせる球種がもう一つはほしいところです。
日本に来てからのボールとマウンドへのアジャストが必要となると思うので、しかもシーズン中となるため来日数週間は二軍での調整が必要になるのではないでしょうか。後半戦の救世主になれるか? 注目して見たいと思います。
著者PROFILE 1950年代生まれ。現役を引退後、MLBスカウトに転身。全米だけではなく日本球界にも太いパイプを築き、スカウティング活動に余念がない。