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投手の打撃力の低さはこのままでいいのか!?

 

近年はその存在がまったくゼロに等しい投手のバッティングである。これは日米に共通する傾向で、アメリカではナ・リーグもDH制を採用すべきではとの声も出ているという。それだけに投手が満塁走者一掃の三塁打を打ったニュースを見ると、思わずうれしくなってしまう。5月5日の中日戦(甲子園)で阪神岩田稔が放った一打である。今回は「9番目の打者」について考察してみたい。

打撃はそれほど投球に大きな負担を与えるのか


5月5日の中日戦[甲子園]で満塁走者一掃の三塁打を放った阪神の岩田稔。投手も「9番目の野手」ということを忘れてはならない



 5月5日は甲子園で阪神対中日戦が行われていた。1対1で迎えた6回裏、阪神は二死無走者から2安打1四球で満塁のチャンスを迎えたが、打者は投手の岩田稔。山井大介が投げる真ん中のボールをたたくと右翼線を転々の走者一掃の三塁打。投手による満塁走者一掃の三塁打は10年8月10日に広島篠田純平が記録して以来5年ぶりのことである。

 いまや投手は投げるためだけに徹している。バットを持っても打つ意欲は見せないし、ファンも、もはやそれを当然と心得ている。従って長打性の当たりを打っても一塁でストップするし、三塁を狙うシーンなどはなかなかお目にかかれない。投手も打つ義務があるセ・リーグでも投手の三塁打は篠田のあと、12年に2本、13、14年は各3本しかない。



 投手を投げるためだけの機械にしているのは、打撃で無理をさせずに投げることに専念してもらうためだが、打撃はそれほどピッチングに大きな負担を与えるのか。

 昨年8月2日に広島のルーキーの大瀬良大地巨人戦の5回表、先頭打者として右翼に三塁打を打ってダイヤモンドを駆け抜けた。その裏は三者凡退させたが、6回裏に先頭の坂本勇人に本塁打されて初の失点。その後も阿部慎之助に2ランを打たれて敗戦投手。無失点だったのがたちまち3失点したのは三塁まで疾走したためだと受け取られかねない。

 しかし、10年以降に三塁打を打った10投手のうち、敗戦投手になったのは・・・

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