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記録樹立も来季が心配な松井裕樹&山崎康晃

 

パ・リーグは9月17日にソフトバンクがリーグ史上最速で優勝を決めたが、セ・リーグは最後の最後までもつれた。その間にメジャーの野球を見ようと渡米してきた。そこであらためて目を見張ったのは、日本の内野手の常識では考えられないぐらい広く、そして堅実な守備力である。現状の日本人選手の力ではメジャーの内野手にはなれないと痛感した。

セーブ記録樹立も不安になる来年以降の成績


10代では史上初の30セーブをマークした松井裕樹。この結果を踏まえて来年はどんな成績を残すかに注目が集まる



 閉幕が近づくと個人記録への挑戦が話題になるが、今年は特にセーブ記録が注目を集めている。

 優勝したソフトバンクのサファテは9月20日のロッテ戦の9回からマウンドに上がり、40セーブ目を挙げ、オリックス平野佳寿が昨シーズン樹立したパ・リーグ記録に追いついた。また、同じ9月20日には楽天の松井裕樹も節目の30セーブ目をマークした。

 サファテは広島時代の11年に35セーブを記録し、昨年はソフトバンクで37セーブを挙げているので心配はないが、松井裕は95年10月30日生まれでこの時点ではまだ19歳。若い投手のセーブ記録には大手を挙げて祝福する気にはなれない。その後の落とし穴が気になるからだ。

 松井裕は今年9月9日のロッテ戦で28セーブ目を挙げ、高卒2年目の記録であった95年の平井正史(オリックス)の27セーブを更新した。しかし、平井はこの1年で燃え尽きて03年から中日に移ったが、再び抑えのエースとしての雄姿を現すことはなかった。97年から現役最後の昨シーズンまで18年間では中継ぎ専門で8セーブを挙げたに留まっていた。

 90年に中日入りした与田剛は50試合に投げて4勝31セーブ。翌年は2セーブだったが、92年には2勝23セーブと復活した。しかし、そこで終わった。その後の99年までの7年間で3セーブを追加しただけで現役生活を終えた。

 平井や与田の過去の例を見ているだけに、筆者は多くのセーブ数をマークした若い投手たちの翌年以降のことを心配してしまう。

 04年にダイエー入りした三瀬幸司は1年目に55試合に登板し、防御率3.06で4勝3敗28セーブ。翌05も2勝2敗で18セーブだったが、その後、プロ野球生活は14年まで9年間続いたが、合計1セーブだ。

 従って今年のDeNA山崎康晃の来年が心配なのである。4月末までは13試合で8セーブ、5月も15試合で10セーブを挙げ、DeNAの首年位進出に大きく貢献。新人の月間10セーブは昨年の三上朋也(DeNA)以来16人目である。その三上も今シーズンのセーブはゼロのままである。

 6月には6試合で2セーブとガタ落ちしてDeNAは6月3日から20日まで1分けを挟む12連敗を喫して、その快進撃は終わった。

 山崎康は8月18日のヤクルト戦に登板し、31セーブ目を挙げ、亜大の先輩でもある与田が90年にマークした新人記録に肩を並べたときに「今日は特別なマウンドだった。周りの人たちに最後のマウンドに立たせてもらって感謝しています」と謙虚に頭を下げていた。

新人最多セーブ記録を塗り変えた山崎康晃。来シーズンは“2年目のジンクス”を覆す真価が問われる1年になる



 そのとき「相手も研究してくるし、自分も経験の中で成長しなければ抑えられない」と話していたが、いま曲がり角に立たせられている感じだ。30セーブを挙げている楽天の松井裕にも心配が先立つのである。

 ベテラン投手を除くと、救援専門投手は、はかなく消えていくのが多い。それだけに大事に扱ってほしいと願うのである。



まだまだ大きな差がある日米の内野手の守備力


 ここから話題は変わるが、今シーズンもいつもの「ジェイ・バックリー・ベースボールツアー」に参加してきた・・・

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