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記録の手帳 / 千葉功

12球団「代打成績」徹底比較

 

代打は継投策同様に野球という競技とは切り離せない策である。継投に関してはセーブやホールドといった記録で評価されるが、代打については表彰の対象になっていない。代打の首位打者ぐらいあっていいと思うのだが、代打の成績はあまり顧みられない。今シーズンの巨人は代打の打率は辛うじて1割台と代打の人材難にあえいでいる。(記録は5月17日に集計)

開幕から代打の人材難にあえぐ巨人


高橋監督も頭を悩ませる代打陣の弱さ。自身のような勝負強さを発揮する選手の台頭が待たれるが……


 巨人は開幕から代打に悩まされている。3月25日からの開幕カードのヤクルト3連戦に3連勝していたが、毎試合1人ずつ起用していた代打はそろって凡退。3月29日からのDeNA3連戦でも代打で出塁したのは31日に四球を選んだ片岡治大ひとり。巨人の代打による初安打は開幕から7試合目の4月1日の広島戦で、7回に先頭で起用された大田泰示の右前打。開幕から7試合目、延べ9人目の代打によるものだった。

 その後も巨人は代打で苦労している。開幕から40試合で延べ73人を代打に送ったが、結果は63打数7安打で打率は.111。中井大介が2安打しているほかは代打で2安打している打者は1人もいない。堂上剛裕も9打数0安打であり、今シーズンの代打の初安打を打った大田もその後はノーヒットで8打数1安打、相川亮二は9打数1安打、片岡も6打数1安打である。

 巨人は高橋由伸が監督専任になったとき、こうなるのを予想しておくべきだった。昨年も代打による打率は.244であったが、高橋由の分を差し引くと代打の打率は.217にまで大きくダウン。昨年の高橋由の代打成績は47試合で38打数15安打の.395、1本塁打、9打点。出塁率は.489にも達していた。


 高橋由は13年には19試合で15打数5安打(1本塁打)で打率.333であり、14年も代打で51試合で43打数11安打(2本塁打)の打率.256であったのだから、その穴は簡単には埋まらない。

代打の打率が高いのはDeNAと楽天


 いまさら言うまでもないことだが、代打は簡単なものではない。代打を出さないほうが、安打が出る確率は高いというデータもある。それを裏付けるのが13年〜15年の代打の打率。それはリーグ全体の打率よりも低い。

(左が代打の打率、右がリーグ打率)。
▼セ・リーグ
13年.220(.254)
14年.255(.264)
15年.239(.249)
▼パ・リーグ
13年.205(.262)
14年.232(.257)
15年.208(.256)

 今シーズンもセ・リーグの打率は.255だが、代打のそれは.232であり、パ・リーグもリーグの打率は.258だが、代打の打率は.242。それでもそんな選手を盛んに起用する。打てない投手なら仕方ないが、投手でなくても終盤に下位に打順が回ると代打が送られるのは常識になっている。いかにチャンス到来とあっても代打として打率が1割そこそこの打者を無条件に送るのはいかがなものだろう・・・

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