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記録の手帳 / 千葉功

無類の強さを発揮する広島カープ

 

広島は9月10日に13試合を残して25年ぶりのリーグ優勝を決めた。久しぶりの栄冠は前例のないほどの強さを発揮したものであった。チーム打率、防御率が1位であったばかりか、本塁打、盗塁数もセ・リーグ1位。これはセ・リーグ史上初めてのことであり、1リーグ時代、パ・リーグを含めてもプロ野球史上6度目となるぶっちぎりの優勝であった。(記録は9月14日時点)

25年ぶりのリーグ優勝を決めた広島。投打の歯車ががっちりかみ合った盤石の戦いぶりだった


チームとしての総合力でも他を圧倒


 今年の広島のチーム打率.275は2位のヤクルトに2分の大差をつけて1位であるし、本塁打は同2位のDeNAに24本差の145本。盗塁数114も同2位のヤクルトに38の大差をつけているし、防御率3.27も巨人に0.12差をつけての1位。この4部門で1位になったチームはセ・リーグでは1つもない。

 1リーグ時代の1940年に巨人が4部門で1位を獲得。しかし巨人はセ・リーグになって36度も優勝しているが、4部門どころか3部門で1位だったのも9度しかない。65〜73年のV9時代でも3部門で1位は67、68年の2度だけ。現段階でチーム順位は2位だが、4部門ともトップの記録はない。

 パ・リーグでは阪急が73年と78年に4部門のトップであった。73年の阪急は当時2シーズン制のパ・リーグで後期に優勝。前期優勝の南海とプレーオフで敗れて年度優勝を逸していたが、年間勝率は.616で南海の.540を大きくリードしての1位であった。主要4部門のすべてで1位のチームは当然のことながら強く、2シーズン制でもう一つ優勝している78年の阪急も文句なしに前、後期を制覇。92、02年の西武も優勝を手にしている。(A表参照)


 今年の広島は打撃10傑に鈴木誠也が2位、菊池涼介が3位、新井貴浩が7位にランクされている。昨年は打撃10傑入りしたのはゼロであった。鈴木にしても昨年は規定打席に達しなかったばかりか打率.275で5ホーマーの選手。それが今年は打率.337の2位であり、本塁打は昨年の5倍以上の26本とあって五番に定着している。

 菊池は14年に.325で2位と飛躍していたが、15年は.254と大きくダウンしていた。新井は今年で18年目になるが、昨年までの通算打率は.277で、3割台に達したのは05年(.305)、08年(.306)、10年(.311)と3度しかない。それが現在は6年ぶりに打率3割をキープし続けている。

 3人が3人とも昨年までなら考えられない力を発揮したことがチーム打率1位を実現している。またこうしたレギュラー選手とともに、控えの選手たちの働きも大いに評価したい・・・

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