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記録の手帳 / 千葉功

大型補強は諸刃の剣か!? 覇権奪回に燃える巨人の問題点

 

巨人は3年ぶりのペナント奪回を目指して補強に躍起となっている。すでにFA宣言したDeNA山口俊ソフトバンク森福允彦を獲得した。さらには2013年に楽天の日本一に貢献したケーシー・マギーを獲得し、日本ハム陽岱鋼の入団も決定的という情報(12月8日現在)もある。金に糸目をつけない補強には驚かされるが、その裏には若手の伸び悩みという深刻な問題も秘められていることを忘れてはいけない。

大型補強でオフの主役となっている巨人。交渉中の陽岱鋼の入団も決まれば史上初のFA宣言3選手の獲得となる/写真は左から山口俊、高橋由伸監督、森福允彦


25歳以下の選手が打ったホームラン数はゼロ


 セ・リーグには2年連続のトリプルスリー達成のヤクルト山田哲人、本塁打王&打点王のDeNAの筒香嘉智という20代半ばのスター選手がいるのに、2016年の巨人には25歳以下の選手で本塁打を打っている選手が皆無という深刻な問題が目の前にある。

 若手たちには頼れないというわけか、このほどケーシー・マギーと契約した。ご存じのとおり13年に楽天が球団史上初の日本一に輝いたときの正三塁手だ。全試合に出場し、打率.292、28ホーマー、93打点をマークしたが、わずか1年で楽天を去って翌14年はマーリンズでメジャー復帰を果たした。

 マギーは苦労人である。プロの世界に身を投じたのは2003年のことだが、08年までマイナー生活が続いた。08年にようやく3Aのアイオワで133試合で.296、12ホーマーを打ちメジャー昇格が実現。2年目の09年にはブリュワーズで116試合に.301、16ホーマー。さらに10年には157試合で.285で23ホーマーを記録し、メジャーでの足場を築いた。

 ところが、11年にブリュワーズで.223、13ホーマーと成績をダウンさせたことで流浪の旅を続けることになる。12年はパイレーツとヤンキースで114試合で.217、9ホーマーに終わったところで楽天入りとなった。1年でメジャーに復帰したが、マーリンズでは打率こそ.287だったが、本塁打は160試合で4本のみ。15年はジャイアンツで49試合に出場して打率.213で2ホーマーと苦しみ、その後はマーリンズに復帰。そこでも60試合出場で打率.182、本塁打ゼロに終わっていた。

 16年は3Aのトレードでスタート。116試合で打率.317で6ホーマーをマークしてタイガースに昇格したが、30試合で打率.228に終わり自由契約。日本球界復帰となった。(A表参照)


 現在のマギーに楽天で見せたような活躍を期待できるかどうかは心配だが、2年続けてペナントを逸している巨人とすれば頼りにしたい選手であるのは間違いない・・・

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