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記録の手帳 / 千葉功

継投策全盛時代だからこそ際立つ、ゲームを支配する先発投手の力

 

継投策全盛の時代とあって、抑えのエースが最近は脚光を浴びることが多い。しかし、それ以前に注目したいのは先発投手である。先発が試合の最後まで責任を果たせば、ベンチも継投で悩まされる必要はなくなり、ブルペンの失敗で勝てる試合を失うこともない。現在の球界で最も信頼できるスターターは誰なのか。今号では先発投手にスポットを当ててみたい。(記録は4月25日現在)

現在の球界において先発でNo.1の安定感がある巨人菅野智之。侍ジャパンでもエースを務めるなど、スターターとして申し分ない力を発揮している


巨人の菅野智之が今季2度目の完封勝利


 完投という言葉はもはや死語になろうとしているのか。開幕から合計でセ・リーグは62試合、パ・リーグは58試合を消化したが、完投投手はセで4人、パで7人しかいない。両先発が2人とも完投し、1試合が2人だけで終わったのは皆無。セ・リーグでは阪神中日、パ・リーグでもソフトバンクロッテはいまだ完投ゼロだ。

 昨年は日本一でありながら20試合を終えた時点で最下位に沈んでいる日本ハムは開幕8試合目のオリックス戦で敗れはしたが有原航平が完投しているので、なんとか完投ゼロは免れている。(A表参照)


 昨年は最下位で、今シーズンも開幕から3連敗と前途を心配されたオリックスは何とか立ち直ったが、それをはっきりと示しているのが完投投手を3人も出していることだ。西勇輝は4月9日の日本ハム戦に154球を投げながら完封すれば、金子千尋が4月14日のソフトバンク戦に92球で完封。新人の山岡泰輔も4月23日のロッテ戦に完投。しかし、山岡は9回を投げていないので8回0対2の完投負けである。

 こんな時代だけに1人で完封勝ちを2度も達成している巨人の菅野智之は驚異的である。4月18日のヤクルト戦と同25日の広島戦に2試合連続の完封勝ち。ヤクルト戦では被安打3であり、広島戦ではマギーが4回に打ったソロによる虎の子の1点を守り切った。

 さらに菅野は打撃でもチームに貢献している。登板したヤクルト戦では4打数2安打であり、広島戦でも2打数1安打。今シーズンの打撃成績は8打数3安打の.375だ。打てないのは当たり前と凡退を繰り返す投手が多い中で異色の存在である。

 4月11日の広島戦に先発し、5回2/3を5失点でKOされたとき・・・

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プロ野球アナリスト千葉功によるコラム。様々な数値から野球の面白さを解説。

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