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岡田彰布コラム

今季の引退選手たちを見て、球界が過渡期を迎え世代交代の渦の中に入ったと思うわ

 

関本から引退発表前夜に電話
どん欲な選手やな、と感じてた


 思わず「エッ」と叫んでしまったわ。まさか広島が負けるとは……。10月7日の広島対中日戦のことよ。広島は勝てばCS出場が決まる。それによって阪神は4位決定。こういう状況になれば、目標のあるチームが普通、勝つものよ。おまけに広島のホームゲームや。すべてにおいて広島勝利の確率は高かったのに、まるで金縛りにあったような1安打負け。あらためて勝負事は何が起きるか分からない。そう感じさせられる1日になったわ。

 今週号はCSのことではなく、選手の「引退」について語れ……という指令があり、真っ先に考えたのが関本賢太郎のことやった。

二軍監督時代に高卒で入ってきた関本はどん欲な選手やった。それが19年間の現役生活につながった。今年は多くの名選手が引退した。世代交代の流れがきたと思う



 実は引退を発表する前の日、夜に関本から電話をもらった。「引退することになりました」との報告よ。エッと思ったわ。「まだ、やれるやろ……」と伝えると、彼は「もう自分のスイングができなくなったので」と。引退を決めた理由を、そう表現していた。自分のイメージどおりに動けないとか、スイングできないとか、それは本人にしか分からない理由がある。それはほかの人間には分からない。彼の意思を尊重し、オレは「ご苦労さま」と伝えた。ホンマ、19年の現役生活、ご苦労さまやった。

 オレが阪神の二軍助監督時代に入団してきたのが関本と濱中(治=現二軍コーチ)やった。ドラフトでは2位の関本と3位の濱中で、2人はライバルとして、よく競り合ってたわな。特に関本には強く印象に残っていることがある。というのも、ミーティングでオレがいろいろと野球の基本を教えるわけよ。そしてミーティングの終わりに「何か質問あるか?」と聞くと、みんなは分かったような顔で、まったく質問してこない。ところがひとりだけ、必ず質問する選手がいたんよ。それが関本やったな。質問の内容は、ホンマ、小さなことやったけど、関本は恥ずかしいとか、カッコ悪いとかに関係なく、疑問に思ったことを聞いてきたわ。

 どん欲な子やな……と感じたな。何でもかんでも吸収したい。何でも知りたい。そういうひたむきさが関本にはあったよ。分かったような顔をして、実際、あまり分かっていない選手が多い中、関本の探求心は旺盛やったし、コイツはホンマ、うまくなりたいんや、とオレは感じていた・・・

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岡田彰布のそらそうよ

岡田彰布のそらそうよ

選手・監督してプロ野球で大きな輝きを放った岡田彰布の連載コラム。岡田節がプロ野球界に炸裂。

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