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岡田彰布コラム

真摯に野球に向き合った男。「うまく打てない」バッターの新井の2000安打。ホンマよかったよ

 

うまくなりたいという強い気持ちがある選手や


甲子園球場で新井の打席に注目してたよ。ホンマ2000安打達成してよかった。おめでとう


 ちょうどそのとき、オレは甲子園での阪神巨人戦を取材をしていた――。

 デイリースポーツの評論のため、伝統の一戦の取材よ。甲子園の記者席でグラウンドを見ながら、気になって仕方ないことがあった。そう、神宮球場でのヤクルト広島戦よ。いよいよ新井貴浩が2000安打を打つのか……。それが気になる……。

 そこへ報告があった。「2打席目にレフト線への二塁打で決めました」。よかった。ホンマよかったよ。あの新井さんが……というTシャツをチームメートが作ったということだが、ホンマ、あの新井さんが、という思いがオレにもわいたよ。

 ずっと敵味方で戦ってきたけど、それが2007年のオフ、新井はつらく苦しい決断で、阪神にやってきた。FA宣言して、先輩の金本知憲(=現阪神監督)のあとを追うようにやってきたのだが、広島を離れるとき、記者会見で涙を流していた。純粋な男なんや、と感じた。広島が好きで好きでたまらないのに、あえて阪神に来る。あの涙には、いろいろな新井の感情が入り交じっている……と、テレビ画面から伝わってきた。

 08年、新井の阪神1年目、オレは監督5年目やった。05年にリーグ優勝を果たしたけど、それ以降の2年は優勝争いしながら、あと一歩届かず、という展開が続いた。それだけに、このシーズンは何が何でも優勝を……と、オレもコーチも選手も、強い気持ちで臨んだ。そこに新井が入ってきた。もちろん大きな戦力よ。オレは金本の四番は変えるつもりはまったくなかったし、それでは新井を何番にするか。タイプ的には五番か、と思われるが、オレは三番に据えた。金本の前を打たす。仮に金本の後ろを打てば、相当なプレッシャーを感じるだろうと思ったからよ。三番なら、金本につなげばいい……。そういう考えがあった。

 実際、新井はそういうバッティングだったわな。記録を見れば打率は3割を超えていたし、その半面、ホームランは少なかった。いかに金本に回すか……という意識が強かったことが感じ取れる。

 新井の印象?みんなが感じているのと同じよ・・・

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岡田彰布のそらそうよ

岡田彰布のそらそうよ

選手・監督してプロ野球で大きな輝きを放った岡田彰布の連載コラム。岡田節がプロ野球界に炸裂。

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