週刊ベースボールONLINE

岡田彰布コラム

捕手にとって「信頼感」が一番重要。その意味で矢野はやはり印象深い捕手やった。その矢野が育てる原口は……

 

捕手というポジションはいかに黒子に徹するかや


 オレは小さいころから野球がうまかった(いきなりの自慢……)。それもハンパなくうまかったと思うよ。小学校のときはリトル・リーグのチームに所属し、試合に出続けた。それもすべてのポジションを守ってね。投手はやるし、内外野もやる。もちろん捕手もやったわ。でも、よく考えてみれば、捕手はその小学校のときだけやったわな。中学からは経験はない。

 これだけの事象で分かるわね。捕手は特別なポジションということが、だ。昔は太っているからとか、足が遅いからとか、体がデカいからとの理由で捕手が決まっていた(ような)気がする。しかし本格的に野球を始めれば、いかにも捕手向きというタイプが、結局はこのポジションに就いている。そういうタイプ、捕手向きタイプってのが、あるわけよ。

 オレも現役時代、多くのキャッチャーと戦い、同じチームでも育ってきた。残念ながら田淵(幸一)さんとは一緒にやってないけど、若菜(嘉晴)さん、木戸(克彦)、笠間(雄二)さんとか、個性豊かな捕手とともに戦ってきた。そこで思うのが、捕手とはいかに黒子に徹することができるか……ではないだろうか。黒子に徹する。言葉では簡単そうだが、これはなかなか難しいとオレは思ってしまう。目立たず、地味ながら、常にチームの要として、静かに仕切る。すなわちゲームでも投手が第1球目を投げてスタートするけど、その前に捕手が投手にサインを出している。ここからが本当のゲームスタートであり、捕手が出すサインこそ、試合を支配するわけと違うやろか。

 そういう意味で、印象深い捕手がいる。オレが阪神のコーチ、そして監督のときの正妻、矢野(燿大。現コーチ)のことだ。矢野のリードは表現すると「安全運転」という言葉がピッタリだった。運転にたとえると、決して無謀な運転をしなかったし、無茶なハンドリングもなければ、蛇行することもない。センターラインを守り、決してブレることはない。実に安心感のある捕手やったわ。

監督時代に正捕手として起用していた矢野(背中)は安全運転をする捕手やった。その中で05年にはリーグ優勝に貢献してくれたわ


 でも・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

岡田彰布のそらそうよ

岡田彰布のそらそうよ

選手・監督してプロ野球で大きな輝きを放った岡田彰布の連載コラム。岡田節がプロ野球界に炸裂。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング