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岡田彰布コラム

黒田の日米通算200勝達成に「あっぱれ!」や。チームの精神的支柱としての輝きが広島の快進撃になっているわ

 

安定した戦いをするには守備力7、攻撃力3


 5対5か、いや7対3やな。いきなりの書き出し。これは何も焼酎の水割りの割合のことではない。オレの野球の戦い方についての基本的な考えを数値化したものなんよ。

 昨今の野球はどうしても派手な攻撃力に目を奪われる。打って、打って、打ちまくる。確かにこういうゲームができるチームは派手で面白い。しかし、攻撃力はいつまでも好調が続くものではない。常に不安定要素がつきまとうわけ。となれば、安定した戦いを続けるためには、何がチームとして必要なのか。それはディフェンス力。投手力を含めた守りなのだ。その割合をオレは守備力7、攻撃力3というふうに表現してみたわけです。

 特にプロ野球はシーズンが長い。高校野球のようにトーナメントではない。負けたら終わり……ではないから、可能な限り計算できる戦いを続け、優勝に近づいていかねばならない。となれば守りを充実させて、簡単に負けないチームにすること。これがペナントを制する道と、オレは確信している。

 そういう意識は現役のときから強く感じていた。例えば1985年の阪神日本一のシーズンだけど、そら、打つわ、打つわで、そこばかりが取り上げられた。でもね、オレはそのときから投手を含めた守りが良かったから……という現実を見ていたわ。そういうことはチームでも分かっていたから、あるとき、投手陣が総崩れになったことで、野手陣から提案があったわけよ。当時、オレは選手会長で、ミーティングをしたら「ピッチャーの使い方を考え直さないと、大変なことになるぞ」という野手の声が渦巻いた。

 みんな、分かってたんよ。守りさえしっかりすれば優勝できる、と。そう信じていたから、オレは選手を代表して吉田(義男)監督に直訴したわけ。「これだけ投手陣が弱ってきているなら、いっそ中西(清起)、福間(収)さん、山本和(行)さんが3イニングずつ投げて、1試合を完了させてはどうか」。当時のセットアッパー、クローザー3人の起用法を監督に提示したわけよ。まあ無茶なものだけど、もちろん、このプランは却下されたわ。ただ、みんなが真剣に考え、守りさえうまくいけば、必ず優勝できる……と考え方が一致していたことが分かっただけで、このミーティングは意義あるものだったわけです。

 こういうことが基盤になって、オレが監督になった2004年から08年までの5年間。常に野球は守りよ……と言い続けた。そしてそのとおり、05年には先発の柱に井川(慶)、そしてセットアッパー、クローザーのJFKを確立させて、優勝にたどりついた。野球は守り。これを具現化できたシーズンと、オレはいまも思っているわね。

 ここまでディフェンス力の重要性について書いたが、それを今季、証明しているのがセ・リーグで進撃を続ける広島である・・・

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岡田彰布のそらそうよ

岡田彰布のそらそうよ

選手・監督してプロ野球で大きな輝きを放った岡田彰布の連載コラム。岡田節がプロ野球界に炸裂。

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