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岡田彰布コラム

広島の25年ぶりの優勝はホンマ長過ぎる年月やったわな。でも今回の優勝で大切なことを思い起こさせてくれたわ

 

順位予想で広島を5位。ホンマ甘く見てた


投手陣はキャンプの投げ込みで鍛えられ、打撃陣は若い一〜三番が機能し25年ぶりに優勝した広島。努力は実るという実例になったわ/写真=BBM


 いまになって、そら、恨むよな。何を恨む?って、週べを恨むわけよ。なんで?って編集担当者が首を傾げる。「よう考えてみいや」とオレ。心当たりがないようやけど、さかのぼれば9カ月前、「岡田さん、日本一早い順位予想、お願いします」ってきたやんか。何も見ないうちに順位予想って、そら無茶やわと思いながら、オレは引き受けた。その結果、広島はBクラスの5位に予想。それが、物の見事に外れた。

 申し訳ございません。広島をホンマ、甘く見てました。これほどまでの強さを発揮しての優勝(これを書いている段階ではマジックは2)。お見事という言葉しかありません。

 予想をした時点でのオレの見立てには、それなりの根拠はあった。「今年の広島はどうですか」と聞かれたら、そら、穴は大き過ぎると答えていたわ。大きな穴?そうメジャーのドジャースに移籍したマエケンこと前田健太の穴よ。エースがチームを離れた。それもハンパな投手やない。シーズンを15勝5敗で投げてくれる投手よ。ひとりで10の貯金をたたき出してくれる投手がいなくなったら……。これを考えると、やはり優勝には推せなかった。10の貯金はデカい。これをどう埋めていくか。どう見積もっても5勝15敗しか計算できなかった。貯金10と借金10。上下20の差よ。これはペナントレースでは致命的な数字。ここが広島の最大のネックとオレは考えていたんよ。

 でも、そういえば何とかできるかも……と考えが覆る証言もあったんよね。それは2月、沖縄キャンプを取材した際、デイリースポーツの仕事で、広島のキャンプ地にお邪魔した。そのとき、臨時コーチとして指導していた先輩の安仁屋宗八さんに会ったわけ。阪神でも先輩で、会えば話をするけど、このとき、安仁屋さんから貴重なことを聞いた。「今年は若い投手も投げ込みを積んでいるから、楽しみは楽しみやぞ」ってね。マエケンはドジャースへの意欲もあったから、広島キャンプのときは、さほど投げ込みをしなかったらしい。目標がはっきりしていて、メジャー仕様の考え方やったやろな。それを見ている若手投手陣も、同じような調整方法を取る。それが投げ込み不足という懸念につながっていたようや。

 そこでマエケンがメジャーに進んだ。そこからキャンプでの調整方法に変化が見られ、安仁屋さんが語るように、かなりハードな投げ込みが続いたようだ。「これがいい方向に出ると思う」。安仁屋さんの期待どおりに、投手陣はマエケンロスを見事に振り払ったのである。

 まあ、そんな投手陣もすごい上昇力を示したけど、やはりカープ優勝の原動力は・・・

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岡田彰布のそらそうよ

岡田彰布のそらそうよ

選手・監督してプロ野球で大きな輝きを放った岡田彰布の連載コラム。岡田節がプロ野球界に炸裂。

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